ソフトバンク・石川柊太投手(29)が藤本新体制での恩返しを誓っている。この秋「キャンプ免除」を通達されていた右腕は、志願の宮崎入り。その裏には、恩人とともに戦う来季への強い思いがあった。

 昨季「最多勝」と「最高勝率」の2冠に輝き、今季は開幕投手を務めた。序盤戦は報われない試合も多く波に乗れず、最終的には6勝9敗でシーズンを終えた。それでも156回1/3を投げ、チームで唯一、規定投球回をクリア。終盤戦は中継ぎにも回るなどフル回転した。

 にじみ出る新シーズンへの意気込み…。右腕は藤本博史監督(58)との浅からぬ縁を明かした。「15年、16年シーズンくらい。いろいろと試していた時期だったんですけど、藤本さんがず~っと僕に言ってましたね。『どんどんテンポよく投げるのがいいよ』って。あとマウンド姿の部分とかをよく言われました」。当時、二軍打撃コーチを務めていた藤本監督は、まだ育成選手だったころの石川に「打者目線」で今につながる投球スタイルを推奨。昨季「スピードアップ賞」を獲得した右腕の代名詞となった〝テンポのいい投球〟誕生の裏には、藤本監督の猛プッシュがあったのだ。

 秋季キャンプ前に福岡で面談を済ませた石川は、新指揮官から「来季15勝」指令を受けた。だが、その後は冗談交じりに「20勝」「25勝」と顔を合わせるたびに要求が〝エスカレート〟。これも2人の「距離感」が成せるコミュニーケーションと言える。来季はテンポよく白星を量産し、常勝再生の難題に挑む恩人を男にする。