叩き上げの韋駄天は「もう一回、育成の時の気持ちを思い出して必死に泥臭くやっていかないといけない」と決意をにじませた。1日にペイペイドームで契約を更改したソフトバンク・周東佑京内野手(25)。400万円ダウンの3600万円でサインした昨季の盗塁王は「悔しいというよりも情けない。野球が仕事なのに、それができないのは仕事を放棄しているようなもの。誰が見ても(減俸)という感じ。驚くこともなかった」と淡々と会見に臨んだ。

 リードオフマン定着を期待された今季は、開幕から打撃不振に陥った。リズムに乗り切れないまま、6月に右手人差し指骨折で離脱。9月には懸案だった右肩の手術に踏み切り、70試合の出場に終わった。打率は2割1厘と低迷。打撃での悩みが持ち味である走塁にも影響した。今季のパ・リーグ盗塁王とはわずか3つ差の21盗塁。シーズン通して試合に出れば、最大の武器である〝鬼足〟を生かしてチームに貢献できることは確かだ。

 常勝軍団の巻き返しには周東復活が欠かせない。置かれた立場を理解し「ゼロ(からのスタート)どころじゃない。マイナスからのスタート」と言葉に力を込めた鷹の韋駄天。右肩のリハビリは順調で、今月中にキャッチボールを再開する。3年前まで死に物狂いで白球を追っていた。あの時に似た危機感が今はある。昨季13試合連続盗塁の世界記録を樹立してシーズン50盗塁をマークしても「僕の代わりはいくらでもいる」とプロの厳しさを覚悟していた男。「みんなが結果を出していたら、それ以上に結果を出さないといけない」。再起へ燃えている。

=金額は推定=