伊勢孝夫氏が感じた古巣ヤクルトとオリのベンチの差、ナゼか打たれない石川の投球術も見事!

2021年11月24日 21時45分

ベテランの妙技でオリックス打線を翻ろうした石川(東スポWeb)
ベテランの妙技でオリックス打線を翻ろうした石川(東スポWeb)

【新IDアナライザー 伊勢孝夫】申し訳ないが、ここまで古巣ヤクルトが頑張るとは思わなかった。私の戦前の日本シリーズ予想は4勝1敗でオリックスが日本一。もうこの時点で数字的に見ても外してしまった格好である。ヤクルトの面々には謝らなければいけない。

 あらためて感じたのはヤクルトとオリックスのベンチの「差」だ。この日もコーチの(松元)ユウイチや森岡がスコアラーから集められた相手のデータファイルを手に試合中、選手に対してしきりに助言を送っていた。これは「野村ID」のころから続くデータ野球の伝統である。対するオリックスベンチにはそういった動きが全く見られていない。勝手が違う短期決戦では、やはりデータが大きくモノを言う。これも両軍の勝敗に大きく現れているのではないだろうか。

 そんな中、この日は何と言っても41歳左腕・石川の投球が光った。プロ20年の円熟味を見せつけながらオリックス打線をキリキリ舞いにさせた。

 私もヤクルトでコーチを務めていた時代、長きに渡って石川を傍で見ていた。彼はこれまでのパターンとして立ち上がりで失点しなければ6回あたりで捕まってしまうことが多い。逆に2回までに点を与えると、その後は上り調子になってスイスイと気持ちよく長いイニングを投げる。ところが、この日はどちらかと言えば前者に近い内容だったとはいえ想像していた以上の結果を残した。ベンチの高津監督もおそらく〝うれしい誤算〟だったに違いない。くだんの6回に二死から初めて連打を浴び、味方の守備の乱れも絡んで同点とされたものの最少失点でクリア。こういう大舞台で最高の投球を見せられるのだから、やはり石川という男は大したものだ。

 今日はいつにも増して制球が良かったことに尽きる。パワーピッチャーが全盛となっている現代野球において、制球力で勝負する石川のような存在は稀有だ。一方、パ・リーグにはいないタイプだけに対峙したオリックス打線は「打てそうだけどナゼか打てない」という石川の投球術に終始面食らっていた。おそらく決め球や勝負どころにスクリューボールやサークルチェンジを組み込む印象が強いとみていたはずだろう。だが、ふたを開けてみると追い込んでからインサイドの真っすぐで勝負するシーンも多々あり、意表を突かれる強気の攻めによって最後まで結局対応できなかった。象徴的な場面は3回先頭の若月が3球で追い込まれ、この日最速となる136キロの内角直球に全く手が出せず見逃し三振を奪われたところだろう。

 最後に石川の持ち味を存分に引き出した正妻・中村の配球も称賛しておきたい。

(本紙評論家)

 

関連タグ:

ピックアップ