元バッテリーの意思疎通がV奪還のカギを握りそうだ。借金1のセ3位から巻き返しを狙う、原巨人4年目の新体制がスタート。原辰徳監督(63)は元木大介ヘッド兼オフェンスチーフコーチ(49)と阿部慎之助作戦兼ディフェンスチーフコーチ(42)を自身の両脇に置いた。そんななか阿部コーチと桑田真澄投手チーフコーチ(53)の守備面での指揮系統について、チーム内から心配する声も上がっている。

 巨人は17日にジャイアンツ球場で秋季練習を行った。桑田コーチはサブグラウンドにブルペンと精力的に動いた。「チーフコーチと言ってもね、まだ1年しか経験ないので、ほかのピッチングコーチ、バッテリーコーチと協力してやっていきたいと思っています。誰が上とかじゃなくて、僕はもう横一線だと思っているんで。縦じゃなくてね」と抱負を語った。

 新たに3年契約を結んだ原監督は、攻守2人のチーフコーチを増設。攻撃を元木コーチ、守備を阿部コーチが担い、桑田投手チーフコーチと合わせて、一軍に3人のチーフが存在することになった。

 チーフコーチ補佐だった今季、桑田コーチはピンチでマウンドに行く「伝令役」を務めたが「今年1年見る、観察するというのをテーマにやってきました。チーフコーチということで責任も出てきましたんで、来年はしっかり実行する。病院でいうと診察が今年で、来年が治療するということ」とキッパリ。「ドクターK(クワタ)」としてチーム防御率セ4位3・63のG投手陣にメスを入れる覚悟だ。

 やる気を見せる桑田コーチだが、一つ気がかりなのがディフェンスと投手の関係。球団関係者は「攻撃面は元木ヘッドが責任者とハッキリしているが、守備面に関しては投手にかかる責任が大きい。ローテ投手の決定や継投は普通に考えれば桑田コーチの管轄だが、阿部コーチが失点を防ぐために投手交代を求めるケースも出てくるかもしれない。両者の意見が一致すればいいが、万が一、食い違った場合、選手はどちらの言葉に従えばいいのか…」と心配する。

 実際、この日のブルペンには2人のチーフコーチが〝そろい踏み〟。阿部コーチが1年目右腕・戸田に実際にボールの握りを見せながら、手取り足取り熱血指導。そこに投手ノックを終えた桑田コーチが登場。阿部コーチのすぐ横で桜井の投球に熱視線を送った。

 もちろん新チームは立ち上がったばかり。今後、ミーティングを重ねて役割を細かく分けることで、組織としてスムーズに機能させることは十分に可能だ。

 阿部コーチはルーキーイヤーだった2001年に桑田コーチのあまりのコントロールの良さに衝撃を受けたと証言。配球面の指導も受け「おかげで成長できた」と感謝を隠さない。先輩を立てることは間違いないが…。コーチ陣を束ねる原監督のタクトにも期待がかかりそうだ。