好投の裏には、入念な危機管理があった。巨人の宮本和知投手チーフコーチ(57)が4―2で勝利したクライマックスシリーズ(CS)ファーストステージ第2戦・阪神戦(7日、甲子園)後、3回から救援登板した戸郷翔征投手(21)の評価と、その舞台裏を明かした。

 今季は先発ローテの一角を担った戸郷だったが、CS中はブルペン待機。万全を期してその時を待っていたが、この日の先発・高橋が2回途中2失点KOとなると、3回から3番手として出番がきた。

 チームは直前の攻撃で一挙3得点し、逆転。1点のリードを何とか守り抜きたい右腕は、四球と安打から一死一、二塁のピンチを招いたものの、梅野を冷静に併殺打に打ち取って危機を脱出。続く4、5回もそれぞれ得点圏に走者を進めてしまったが、得点は許さなかった。

 戸郷は「1年ぶりの中継ぎで、いろんな調整の仕方とかが難しかったですけど、何とかゼロに抑えられてよかったです」とほっとした表情。たびたびのピンチを招くも、味方の好守に助けられ「今日はラッキーでしたね」と振り返った。

 久々の救援出動となった右腕だが、準備は万全だった。宮本コーチは「初回から用意させました。これは短期決戦でやるべきことだと思うので、その辺ができたかなと思います」と、高橋の結果と関係なく投球練習を開始していたという。

 その後の継投も含めてこの日は計8人のリレーとなったが「最高の短期決戦用のゲームができたんじゃないかなと思いますね。私どもの売りであるリリーフ陣が無失点というところで、それはわれわれの一番の強みだと思うんで、そういった意味では今日はほぼ全員で戦えたんじゃないかなと思います」と胸を張った。

 この日の勝利は、戸郷の粘投を含む、投手陣の〝ワンチーム投球〟でもぎ取ったようだ。