後がなくなった。阪神が、巨人とのクライマックスシリーズ(CS)ファーストステージ初戦(6日、甲子園)に臨むも0―4の完封負け。虎党のため息が充満した。

 試合後、矢野監督は「点とらないことには勝てない…」と顔をゆがめた。頼みの先発・高橋が中盤に失点を重ねたとはいえ、巨人先発・菅野に対し、猛虎打線も全く歯が立たなかった。

 采配も空回り。1点を追った5回の先頭・マルテが左前にチーム初安打を放った直後だ。続く糸原の1ボールからの2球目。今季0盗塁のマルテが二盗を敢行するも、Gバッテリーはこれを見透かしたように2球目を意図的に外角へ大きく外し、労せず二塁で刺殺。

 阪神ベンチとしては、ストライクを取りに来る可能性が高いカウントで、空振りの少ない巧打者の糸原に打たせることで、あわよくば一、三塁、最悪でも併殺を回避したい狙いが見え隠れしたが、結果的には先頭の「出塁」すら消える形となった。これについて、指揮官は「対策していきます」と話すにとどめたが、反撃の芽を自軍で潰してしまった。

 この日はレギュラーシーズンのラスト3試合の流れを受け、1番・島田、3番に近本を配置。さらに93試合で4番を打った主将・大山をスタメンから外し、左打者7人を並べたが機能せず。

 その大山は9回に代打で出場すると、守護神・ビエイラから安打を放つなど、用兵も後手に回った感は否めない。

 一方の巨人・原監督が不動の4番・岡本を欠くなか、シーズン不調だった丸を代役に〝心中〟覚悟で据えた結果、1安打2四球と貢献した姿とはあまりにも対照的だった。

 試合後「勝って次にどう持ち込むか。それだけ考えてやっていきます」と気丈を貫いた矢野監督。虎は崖っぷちで踏みとどまることができるか…。