本当に玉砕覚悟を固められるのか。CSファーストステージがセ・パともに6日に開幕。下克上をかけ、2位の阪神と激突する3位・巨人は5日に甲子園球場で最終調整を行った。左わき腹を負傷した主砲・岡本和真内野手(25)は、第1戦を欠場することが確実となった。不動の4番を欠く大ピンチに陥った今こそ「開き直り」が求められそうだが、選手の〝本音〟はそう単純なものでもなさそうで…。

 逆転日本一を目指すチームに今季最大の試練が訪れた。10月31日の守備練習中にアクシデントに見舞われた岡本和はこの日も別メニューで調整。回復ぶりを慎重に見極めてきた原辰徳監督(63)もついに「和真は登録できないでしょうなあ、多分。2戦目はどうなるか分からないけど」と苦渋の決断を下した。

 39本塁打に113打点で2年連続の2冠王。今季のチーム総得点(552)の実に5分1ほどが岡本和の打棒によるものだった。143試合を完走した強靭な4番が欠場する非常事態。ただでさえ、トラ先発の高橋には対戦した2試合で16イニングで無得点な上に、3位から突破したことがないCSで、いきなり崖っ縁に追い込まれた。

 故障者や誤算が相次いだ今季の最後の最後に特大ショック…。3位からの下克上へ、かねて首脳陣が強調してきたのが〝開き直り〟だ。指揮官もナインに「挑戦者という部分では開き直って大胆に戦えるという利もある」と説き、宮本投手チーフコーチも「『3位だから俺たちはチャレンジするだけだ』と、捨て身で行きたい」と大号令をかけた。

 リーグV2を果たし「セ代表」としてポストシーズンを戦った昨季までとは違い、今季はいよいよ〝ダメ元〟でなりふり構わず挑めそうなもの。ただ、実際にプレーする選手からするとどうなのか。第1戦で先発する菅野はこう明かした。

「順位的な部分で気持ちの変化があるかと言えば、僕はないというか。チームメートで3位だから開き直っていけるとか、そういうのは多分ないと思う。グラウンドに立ったら対等。引き分けが(巨人の)負けになるというのは(阪神の)アドバンテージかもしれないけど、阪神が有利だとは思わない」

 3位だからこその〝強み〟は首脳陣が大胆なタクトを振るえる一方で、負けず嫌いのナインには特段の変化はないということか。いずれにせよ、負ければ一気に後がなくなる第1戦が今後の明暗を分けそうだ。