南海の血を引く男が、強力な援護射撃を受けて王位を継承した。ソフトバンク・藤本博史新監督(57)の就任会見が29日、ペイペイドームで行われた。二軍監督からの昇格となる新指揮官は「やるからには日本一を目指したい。自分が監督になって弱くなったと言われたくない」と所信表明。Bクラスからの巻き返しへ、早くも鼻息が荒かった。

 藤本監督は2011年に指導者生活をスタート。一軍から三軍すべてで指導歴があることが強みだ。今回の藤本政権誕生について、王球団会長は「今のホークスを一番熟知している。特に若い人を育てている。これから先の戦力となる人たちをよく知っているので心強い。そういう意味では適任」と語った。選手に寄り添う指導法で柳田を球界屈指のスラッガーに押し上げた。かねて鷹の未来を担うリチャードや上林にも目をかけ、今後は殻を破る手助けが期待される。

 一軍監督の重圧、激務はこれまでのファーム監督とは比にならない。だが、藤本監督には強力なサポートが約束されている。この日、球団は王会長が「会長兼特別チームアドバイザー」に就任すると発表。王会長はこれまでも積極的に現場に足を運び「気づき」を伝えてきたが「今までよりも突っ込んだ形」で選手へ助言を送る。また「フロントと現場の意見交換を今まで以上に頻繁にして風通しをよくしていきたい」とも語った。軸足をより現場側に向け、新監督の思い切った采配を後押しする。

 この日の会見で、藤本監督は「今76番なんですけど、変わるみたいです。まだ決定はしてませんが、工藤監督の番号もらいます!」と、背番号「81」への変更を予告。馬が合った同い年の工藤前監督とは2日前に電話で話したといい「これからもいろいろ電話で聞きながら、教えてもらいながらやっていきたい」と要所で〝工藤フォン〟を活用することを明かした。

 人望が厚く、考え方は柔軟。名よりも実の新監督が、王道を知るレジェンドたちとともに「常勝」の輝きを取り戻す。