ヤクルトにVをさらわれ、CSでのリベンジを期す矢野阪神で、ポストシーズンの「正捕手を誰でいくか?」に注目が集まっている。

 今季の先発捕手は東京五輪日本代表の梅野隆太郎(30)が125試合、6年目の坂本誠志郎(27)が18試合。年間では梅野も、ここにきて2番手・坂本の貢献度が増してきている。実際に9日から最終戦までの12試合中、坂本が11試合でスタメンマスクを務めて7勝3敗3分け。投手陣をリードしたこの間、坂本先発試合の失点は1試合平均2点を下回る17、無失点試合も3試合と投手陣との二人三脚で、マジック点灯後の燕軍団に最後まで抵抗を続けた立役者にもなった。

 もちろん、梅野も外せない。9月までは不動の存在としてマスクをかぶり、夏場まではV達成時のMVPに推す声はチーム内外から多くあった。首位で折り返した直後には、井上一樹ヘッドコーチ(50)も「先発陣がよく頑張ったけど、その影には梅野隆太郎の存在がある。前半のMVPが誰か? と聞かれれば梅野はその一人」と話すほど。9月以降、疲労からか投打に状態は下降気味となり、10日のヤクルト戦以降は先発出場はないが、今季は国内FA権も取得。オフにはその動向が注目される球界を代表する捕手で、経験値は抱負なだけにCSでの巻き返しに燃えていることは明白だ。

 このシーズン最終盤での〝正妻チェンジ〟は巨人、ヤクルトとCSで戦うライバル球団にも影響を及ぼしている。Bクラスに終わったセのスコアラーも「配球チャートを見れば一目瞭然ですが、リードもそれぞれに特徴があります。当然、2パターン用意しないといけなくなる」と明かし、主に先発対策で練る資料もふた手間かかりそうな事態となる。

 捉えようによっては、短期決戦でプラスに働く、ぜいたくな悩みにもなりそうな猛虎の正妻問題。果たしてCSで矢野燿大監督(52)はどちらを扇の要に据えるのか…。