他力ながら逆転優勝の可能性を残している阪神は25日に甲子園球場室内練習場で全体練習を敢行。レギュラーシーズン最終戦となる翌日の中日戦(甲子園)へ向け矢野監督は「ここまで全員でよく戦ってきてくれた。もちろん勝つことが大事なのは全員が分かっていることだけど、それ以上に大事にしたいのは自分たちの野球、タイガースの野球をやること。失敗を恐れずに挑戦してもらいたい。走り切る、一丸で戦う。そういうことを大切にしたいとナインには話した」と〝人事を尽くして天命を待つ〟姿勢を強調した。

 25日時点で阪神の残り試合は「1」。ヤクルトは「3」。26日の中日戦に阪神が勝ったとしても、優勝の行方は最短で29日の広島―ヤクルト戦(マツダ)の結果次第で決まることになる。虎ナインたちは公式戦を終えた本拠地・甲子園球場で吉報を待つしかない。

 この状況に頭を悩ませているのが在阪テレビマンたちだ。優勝決定ゲームに欠かせないのが「ウイニングボールをガッチリつかみマウンド上で歓喜の輪をつくるナイン」「超満員の球場内で宙を舞う指揮官」といったシーン。2003年は9月15日にデーゲームで行われた広島戦に赤星のサヨナラ打で逆転勝ちを収めた約2時間後、甲子園の大型ビジョンで中継された横浜―ヤクルト戦でヤクルトが敗戦するや、ベンチ待機していた星野監督や虎ナインがグラウンドに飛び出して抱き合った。05年は9月29日の巨人戦に勝利し岡田監督が甲子園で胴上げされたが、こうしたお決まりの〝絵〟が撮れないことは確定しているため、臨場感のある歓喜の瞬間をどうやって視聴者に伝えるかは各局のディレクター陣の腕の見せどころとなる。

 加えて「阪神が最後に優勝したのは2005年。当時を知るテレビマンたちはすでに管理職等に出世したりで現場にいない。つまり優勝特番のノウハウを知るスタッフが少ないんだよね。優勝慣れしてそうな福岡の民放各局の知人にアドバイスとかもらえないかな…」(在阪テレビ局員)という声も…。

 阪神が「優勝慣れしたチーム」になるべく、まずは今年のペナントをもぎとってほしいところ。セパともに大激戦のV争いが続く今年の結末は――。