NPB各球団の来季外国人補強に新たな難問が予想されている。昨年に続きコロナ禍の影響が直撃した今季、一番の難問は各チームに所属する外国人選手の家族の入国制限だった。

 8月に入って政府外務省は「人道上配慮すべき事情がある」との判断でそれまで制限されていたNPB、Jリーグなどに所属する外国人選手の家族についても入国ビザの発給を再開したものの、時すでに遅し。巨人ジャスティン・スモーク内野手、西武エルネスト・メヒア内野手が来日できない家族と過ごすために7月の五輪中断期間までに退団を申し入れた。

 昨年までオリックスに8年間在籍したブランドン・ディクソン投手も来日することなく5月に退団。自主退団の決意に至らずとも家族を遠い母国に残し「単身赴任」で奮闘し続けた多くの助っ人外国人選手が大きく成績を落とした。ワクチンの普及、コロナ感染者の減少によって状況は徐々に良い方向へ向かいつつあるが、まだ各国からの入国には多くの制約が残り、自由な海外渡航、入国が可能だった日常を取り戻すめどは立たない状況が続いている。

 一方で各球団の来季、外国人補強はすでに動きだしており、渉外担当者らは難しい選択を迫られている。というのも、現状の「選手の家族のみの入国制限解除」が来季も続くことになれば、次の段階の問題が起きてくると予想されているからだ。

 ある球団の担当者はいう。「もし新たに獲得する選手に妻子がいて子供が乳幼児だった場合、シーズンの半分が遠征であることを考えると異国で育児をする奥さんの心労を考慮して家族そろっての来日を決断できない選手の割合は変わらないのではないか。少なくとも(選手と奥さんの)両親まで来日できなければただでさえ夜泣き、急な発病が日常的に起こる育児には対応できない」

 必然的に妻子持ちの選手は敬遠されがちとなり、外国人問題におけるコロナショックはまだ終わりが見えないようだ。