23年間のプロ野球人生に幕を下した西武・松坂大輔投手(41)の今後に注目が集まっている。

 19日の日本ハム戦(メットライフ)で5球の引退登板を終え、ついにユニホームを脱いだ〝平成の怪物〟。甲子園の延長17回、155キロデビュー、イチローとの初対決で3三振…。残した伝説の数々は「平成」という時代を映し出し、そのトピック一つひとつが人々の記憶に深く刻まれた。球界のアイコンを飛び越え「松坂」というひとつの時代を作り出した国民的ヒーローだった。

 その松坂の今後のキャリアはどうなるのか。本人は19日の引退会見では「家族と過ごす時間を増やしながら、違う角度で野球を見て行きたい。野球以外にも興味のあることはたくさんある。そういうことにもチャレンジしていきたい。野球界、スポーツ界に恩返しできる形をつくっていけたらいいなと思う」と語っていた。

 ただ、本人が漠然とイメージしている指導者像は特定球団のコーチや監督というものではないようだ。松坂に近い関係者は口をそろえて「そもそも大輔には指導者願望というものがない。そういう話は本人の口から聞いたことがないし、現役を上がったら野球と少し距離を取って家族と普通の生活をしたいというのが一番の望みでしょう」と語る。

「本来ならマウンドに立つ資格がないというか、立てる状態にない」。そういって、右腕に痛み止め注射を打ちながら満身創痍の状態で立ったラスト登板を振り返った松坂。まぶしい栄光と深い挫折を味わい、しばらくは心と体を休めるための充電期間に入るが、周囲の関係者からはこうも忠告されている。

「いつまでも周りは放っておいてはくれない。まずは疲れた心身をゆっくり休めて心ゆくまで家族との時間を楽しんでほしい。ただ、将来的に大きな国際大会などでコーチのオファーなどが来た場合、それは断ってはいけない。自分のこれまでの経験を下の世代へ伝えるため、野球への恩返しのために受けるべきだとは話している」

 2000年シドニー、04年アテネの2度の五輪出場、06年、09年のWBCで通算6勝無敗、防御率1・99、2大会連続MVP。この実績を考えれば、松坂が受けるべき指導者オファーの最優先は将来的な侍ジャパンの入閣となる。