自らが18番にあこがれたように、41番もあこがれの対象になっているはずだ。ソフトバンク・千賀滉大投手(28)が19日のロッテ戦(ペイペイ)で8回先頭まで無安打投球の快投。球界を代表する右腕に成長を遂げた男が、6年連続2桁勝利に王手をかけた。

 くしくもこの日は西武・松坂の引退試合。千賀が少年時代から強いあこがれを抱き、プロ入り後は足跡の偉大さに敬意を深める特別な存在だった。

 松坂はこの日、引退試合のために変更された代名詞の背番号「18」をつけて最後のマウンドに上がった。千賀の松坂に対する思いの強さを示すエピソードがある。松坂がソフトバンクを退団した直後の2017年末のオフ。千賀は球団から「18」への背番号変更を打診された。「本当のことを言うと、18番をつけたい気持ちが強かったんです」。

 18番は、球界のエースナンバー。だからつけたかったわけでない。「松坂さんが背負っていた番号だから、つけたかった」。だが、悩んだ末に同様に18番をつけることを望んでいた武田翔太投手(28)に譲った。

「いま背負っている41番で頑張りたい気持ちがあったんです」。2013年から背負う今の番号を「自分の代名詞にしたい」という思いが勝った。それは自身が松坂の「18」にあこがれたように、これから球界に入ってくる金の卵たちに「千賀の41だから41番をつけたい――と思ってもらえる番号にしたい」という考えだった。それ相応の活躍と実績を積み重ねなければかなわない。それが自ら18番を断り、41で飛躍することを心に決めた経緯だった。

 試合後「僕も(登板前の)準備中だったので大輔さんのピッチングを見られなかった。これから(帰って)ゆっくり見たいです」と、毎度の松坂愛で締めた千賀。憧れの18番が節目を迎えた日、NPBの顔となった男がしっかりとバトンを受け取った。