阪神は19日、マジック4で聖地・甲子園に乗り込んできたヤクルトに11―0で圧勝し、逆転Vへの望みをつないだ。

 この日は矢野燿大監督(52)は低調な打線のテコ入れとして好調の1番・近本を中軸の3番に配置変えし、1番に4年目の島田を抜てき。これがズバリ的中した。初回、先頭・島田の安打を口火に無死一、二塁とすると近本がヤクルト・奥川から右翼席に自身初の2桁本塁打となる先制の10号3ラン。指揮官も「1点だけだと最近、ムード的にも重いので。チーム的にも大きなホームランだったかなと思う」と満足げ。これで活気づいた猛虎打線は終わってみれば16安打11得点。「明日(20日)勝てば、本当に面白いことになると思う」と、逆転Vへ追いかける側の執念を披露した。

 その一方で残り試合も「先行逃げ切り」は理想ではなく〝マスト〟の要素。今季の虎にとって「先制点」はそれほど大きな意味を持つためだ。

 攻撃陣が先制点を奪った試合は61勝16敗(5分け)。7割越えのリーグ断トツの高勝率を誇る一方、逆に敵に先制点を許したときは14勝39敗(3分け)と大きく負け越している。さらに序盤3回終了時点で「負け」の展開は7勝35敗(5分け)と、とりわけ分が悪い。このことからも今年の虎では9イニングあるうちの「前半戦」は試合の勝敗を占う意味でも、大きなウエートを占めている。

 打線がいかに素早くスコアボードに爪痕を残せるか。残り5試合も〝先手〟がミラクルへの必須条件となりそうだ。