「平成の怪物」西武・松坂大輔投手(41)が19日、メットライフドームに隣接する球団事務所で引退会見を行った。

 松坂は「今日が来てほしいような、ほしくないようなそんな思いがあったんですけど。現実では、すっきりしてないですかね。この後投げることになっているし、投げることができて、そこで、自分の気持ちもすっきりするのかなと。すっきりしたいなと思っています」と語り会見をスタートさせた。

 7月7日に球団から引退発表がありこの日まで3か月。松坂はその理由について「僕自身が発表したものの、なかなか受け入れられなかった。揺れ動いていると言うんですかね、その中で会見するのもなあと思って、球団にちょっと待ってくださいと言っていた。ただ、この発表してから3か月間、やれそうだなと思った日は一度もなかったですね」と葛藤と現実の日々を振り返った。

 そして、引退を決意せざるをえなかった理由について「昨年の春先、右手のしびれですね。強く出るようになって、その中でもなんとか投げることはできたんですけど、コロナ禍の中で緊急事態宣言になり、トレーニングも治療もままならない中で、症状が悪化して、できれば手術は受けたくなかったですけど、本当に、ほぼ毎日のように首の痛みやしびれで寝られないことが続いて、ちょっと精神的にまいってしまったというのもあって手術を決断した」とそのいきさつを説明した。

 しかし、その後も状態は改善することなく今春キャンプ中に引退につながる出来事が起きたという。

 松坂は「そろそろ打撃投手をして、次には二軍の試合に投げられそうだねというところまで来たんですけど、その矢先に、ブルペンの投球練習中になんの前触れもなく、右打者の頭の方にボールが抜けたんですね。それもちょっと抜けたとかそういうレベルではなくて、とんでもない抜け方をした。投手は抜けそうだなと思った、ちょっと指先の感覚でひっかけたりするけど、それができないぐらいの感覚のなさって言うのか、そのたった1球で、ボールを投げる事が怖くなってしまった」と語った。

 そのことがあり、松坂は松井二軍監督に相談。チームを離れ一人調整する時間を得たが「なかなか右手のしびれ、麻痺の症状が改善しなかったので、これはもう投げるのは無理だなっと思った。それで、やめなきゃいけないなって自分に言い聞かせた感じですね」と決断に至るまでの経緯を語った。