「令和の大失速」のカゲでこのまま忘れ去られてしまうのか――。球団史上ワースト3位タイとなる10連敗中の原巨人。4位・広島の猛追でCS進出も黄信号となっているが、そんななかで消滅の危機にひんしているのが、後半戦のキーワード「わっしょいベースボール」だ。一体感を高めるため、指揮官自ら考案した新スローガンに何が起こっているのか…。

 11連敗阻止へ巨人は18日、川崎市内のジャイアンツ球場で全体練習を行った。練習前には原監督がナインの前で訓示。「(10連敗を)しっかりと受け止めるというのが大事。自分たちがどうはねのけるのか。緊張とかプレッシャー、いろんなものがある。ただ揚々と戦う、ノビノビと戦うのが大事」と、2018年オフの監督就任時に掲げた「ノビノビ野球」への回帰が必要と強調した。

 指揮官の訓示を受け4番・岡本和は「ボクが打点を上げれば(多く)点が入るなというのは特に感じました。そういうポジションにいると思っているので頑張らないといけない」とキッパリ。現在112打点のセ打点王は勝利に導く活躍を誓った。

「ノビノビ野球」が復活を遂げる一方で〝自然消滅〟しそうなのが「わっしょいベースボール」だという。

 今年8月、後半戦開始前に指揮官が標語として提案した。それからは本塁打を打った選手はベンチ前でみこしを担ぐ「わっしょいポーズ」を披露。球団もタオルやTシャツの「わっしょいグッズ」を販売するなど、ファンと一体となって盛り上げてきた。本拠地での勝利後はヒーローが「ジャイアンツみこし」を担いで記念撮影を行ってきた。

 だが9月6勝14敗5分け、10月2勝10敗2分けで最大貯金15からまさかの借金2。「令和の大失速」とも呼べそうな大型連敗により、東京ドームでの白星は今月2日のDeNA戦が最後。2週間以上、みこしは日の目を見ていない。

 さらに敗戦が重なる中で、本塁打後のナインにも異変が…。15日のヤクルト戦(神宮)で初回に坂本、岡本和のアベック弾が飛び出したが、それぞれ19戦ぶり、18戦ぶりと久々の一発に両雄は興奮気味にベンチに戻ったものの「わっしょいポーズ」はやらなかった。

 また16日の広島戦(東京ドーム)、8点を追う7回にウィーラーが14号ソロを放ったが、大量ビハインドとあって笑顔はなし。無表情でベンチ前に戻ると申し訳程度のハイタッチをするだけだった。

 確かに祭りを盛り上げる「わっしょい」はチームに勢いがある時はいいが、連敗中の雰囲気にはそぐわない。巨人の本拠地開催は23日のヤクルト戦1試合を残すのみ。白星ならみこしも再登場できるが…。

 ゲンの悪さもあって来季継続の可能性も低く、このまま消えてしまうのか。打棒爆発がすべてのカギを握りそうだ。