優勝マジックを4としたヤクルトで、今や欠かせない存在が、ドミンゴ・サンタナ外野手(29)、ホセ・オスナ内野手(28)の助っ人野手コンビだ。来日初年度で今季はコロナ禍による入国制限でデビューも1か月遅れたが、18本塁打、56打点(サンタナ)、13本塁打、59打点(オスナ)と、燕軍団躍進の一翼を担っている。

 1年目からの適応には理由がある。遅れて来日したにもかかわらず、すぐにチームに溶け込み、かつ結果を出して打線の不動の一角を占めるまでに至った背景には、元メジャーリーガー・青木宣親外野手(39)の存在が絶大だとチーム関係者は語る。

「青木のメジャーでの実績が(助っ人の)2人よりはるかに格上だったことが大きい。彼らがメジャー定着を目指していたころ、青木はバリバリのレギュラーで常にゲームに出る存在。日本人以上に外国人選手はメジャーリーガーだった人間をリスペクトしますから」(チーム関係者)

 当時から青木は憧れであり、敬意を抱く存在だったというわけだ。助っ人たちにあらかじめ根づいたこの意識が、日本での順応を大いに後押ししたという。

「オスナが凡打でも全力疾走するのなんかは、まさに青木の影響。『青木さんがやっているのに、自分たちがやらないわけには…』という意識があるのが、これまでの外国人と違うところ。来たときから常に青木の動きを見て、見よう見まね。青木クラスになるともうコーチに何か言われて、という感じじゃなく、自分で考えて練習しますよね。ルーティンで早出で室内に打ち込みにいけば、バットを持ってついていってたし、2人も今では、若手にまじって早出特守にも志願して参加しますから」

 メジャー6球団を渡り歩き、常にレギュラー格だった青木が現在も、試合前から泥まみれで汗を流す姿に、2人も「こんな偉大な選手でも、これだけやっているのか」とすっかり感化された模様だ。そんな青木も助言を惜しまず、2人に日本に適応するためのアドバイスをしているという。

 燕打線を支える助っ人2人にとって「AOKI」は〝影のボス〟。野手最年長でもあるチームの精神的支柱は、助っ人たちの良き相談役としても貢献度大だ。