ドラフト巧者・西武の今年の指名が内外で称賛されている。

 11日に行われたドラフト会議で西武は公言していた大学ナンバーワン左腕・隅田知一郎投手(22=西日本工大)の交渉権獲得に成功。2位でも即戦力左腕の佐藤隼輔投手(21=筑波大)を指名し、4位・羽田慎之介投手(17=八王子学園八王子)、育成3位・菅井信也投手(18=山本学園)の高校生2投手と合わせ明確な補強ポイントだった左腕投手4人の確保に成功した。

 指名した計10人(本指名6人、育成4人)は投手5人、捕手2人、内野手2人、外野手1人と理想的で、渡辺GMが「100点満点。近年まれに見る素晴らしいドラフトだった」と自画自賛するパーフェクト指名だった。球団内からも2013年の森、山川ドラフトに匹敵する「神ドラフト」の声が漏れるほどだ。

 そして、西武にとってもうひとつの〝裏テーマ〟であった森友哉捕手(26)のFAへの備えも、3位で強肩好打の大学生捕手・古賀悠斗捕手(22=中央大)を指名し、育成1位でも古市尊捕手(19=徳島インディゴソックス)の2捕手を確保したことで、これを完了した。

 もちろん、球団は順調に行けば来季中に国内FA権を取得する森の引き留めに全力対処するだろうが、スカウト、編成の仕事は「何があってもいいように事前の備えをしておくこと」。実際に森、岡田の2捕手を確保した13年ドラフトは翌年にFA取得を迎えた炭谷(現楽天)の後釜問題に備える観点からの指名だった。

「守備面だけなら岡田、柘植で十分カバーできる。ただ将来的に主戦を張る攻撃力も備えたキャッチャーは『いる時』に取らなければなかなか補えない」(球団OB)というのが西武流。短期的な即戦力左腕の補強、中長期的な捕手補強まで成功させた西武の今ドラフトは中村、山川の後釜問題に備えた昨年1位・渡部の獲得と合わせ今年も戦略的だった。