中日は12日、与田剛監督(55)が今季限りで退任し、来季の新監督としてOBの立浪和義氏(52)に就任要請をしたと発表した。

 この日、バンテリンドームで取材に応じた加藤宏幸球団代表(61)によると、与田監督から10月初旬までに退任の申し入れがあったという。「今年がちょうど3年契約の3年目で、残念ながら思ったような成績が残せそうにないということだった。ただ、与田監督は途中で放棄するようなことはしたくありませんので、今季を全うしてから責任を取りたいという話だった」と説明した。

 その上で、球団はここまで与田監督の功績を評価。加藤代表は「非常に素晴らしい投手陣を作り上げてくれた。ドラフトでは非常に楽しみな選手を取ってもらったこと。残念なら監督が花を咲かせる前に退任ということになってしまったので、球団としては何らかポストは考えたい」とし、今後は現場以外で球団に残りフロント入りを示唆した。

 そこで白羽の矢を立てたのが立浪氏だった。加藤代表は「急きょ、次の監督の人選をして、今の課題は打つ方なのが明確なので、ではそこを立て直すには誰がいいのかとなったときに春のキャンプで臨時コーチをお願いした立浪さんがいいのではないか、ということになった。今朝、本人に打診をした」と明かし「彼はドラゴンズに恩返しをしたいという気持ちは強いということで前向きな返答をもらった。シーズン終了後に正式に要請したいと思います」と説明した。

 立浪氏は1988年にPL学園からドラフト1位で中日に入団。1年目から遊撃のレギュラーに定着し、新人王、ゴールデングラブ賞に輝いた。2003年には球団最年少で2000安打を達成するなど西沢道夫、高木守道に続く3代目「ミスタードラゴンズ」として名をはせた。

 球団史上最多の通算2480安打を放ち、2009年限りで現役を引退。野球評論家やWBCでは打撃コーチなどを務め、今春の中日キャンプでは臨時コーチとして京田や根尾らの打撃を指導した。来季は「ミスタードラゴンズ」がチームの再建に乗り出す。