巨人の転落が止まらない。10日の広島戦(マツダ)はまたもや打線がつながりを欠き、1―3で今季ワーストに並ぶ6連敗を喫した。リーグ3位でCS進出はできそうだが、9月以降だけで3度目の5連敗以上となり青息吐息。課題山積の中での戦いぶりをネット裏からチェックした本紙専属評論家の大下剛史氏にはどう映ったのか。独自の目線で原巨人に鋭いメスを入れた。

【大下剛史 熱血球論】今回の3連戦を球場で見させてもらったが、ここまで弱い巨人は久しぶりに見た。5人で先発ローテーションを回している投手陣も厳しいが、何より打線にまるで迫力がない。2位の阪神とも4位の広島ともゲーム差が離れ、打てない、守れない。スコアボードのスタメンを見れば、昨季と何も変わらない名前ばかりが並んだ。それだけ今年育った若手がいないということだ。これではファンも何を楽しみに試合を見ればいいのか分からないだろう。

 原監督の苦しさが最も表れたと感じたのがクリーンアップだ。「3番・坂本」「4番・岡本和」は分かる。実績も役割としても申し分ない。しかし、私が気になったのは5番に丸が入っていたことだ。正直、丸を5番に入れるようなチームでは苦しい。本来は相手が嫌がるオーダーを組まなくてはならない。広島時代から見てきた丸が輝くのは、あくまでも〝脇役〟とみている。2番、または6、7番にいてこそ相手は警戒を緩められず、プレッシャーをかけながら理想的な攻撃をできるようになる。今の並びの中軸ならば、相手はこの3人だけマークしておけばいい。原監督も重々承知の上だろうが、岡本和の後を打つ5番に置ける選手が他にいないから消去法的に丸を置いているのだろう。

 今季はスモークやテームズといった新外国人選手が戦力にならなかった。誤算も大きいだろうが、他に5番に入ったのは年長者の亀井や中島やウィーラー。中田を戦力としてトレードで獲ったのも、5番を埋める計算が働いたからに違いない。

 しかし、結局は誰が岡本和の後を打つのかが確立できていないのは大きな問題だ。そもそも巨人のフロントや現場は、5番打者を自前で育てようとしたことがあるのだろうか。外から獲ってきて埋めればいいと続けてきたことのツケが回ってきたように思う。

 2年後、3年後も見据え、強いチームをつくっていくためには、やはり自前で若手を我慢しながら使い続けて育てなければならない。これからのオフも新たな外国人やFAなどの補強に頼ろうとするならば、来季以降も苦しい戦いが続くだろう。

 すべての歯車がかみ合っていないチームを、CSに向けて原監督がどう立て直していくのか。そして若手をどう育成していくのか。これからも注視していきたい。

(本紙専属評論家)