阪神は24日の巨人戦(東京ドーム)を6―6でドロー。点を取っては取られのシーソーゲームは、まさに伝統の一戦の名に恥じぬ白熱した戦いだった。

 社会人出身のドラフト6位ルーキー・中野拓夢内野手(25)が〝渋い〟働きでチームをサヨナラ負けのピンチから救った。サンズの適時二塁打で6―6の同点に追いついた直後の9回、クローザーとしてマウンドに送り込まれたスアレスだったが、坂本の右中間への二塁打、岡本の中前打などで一死満塁の大ピンチを背負った。

 バッターボックスにはこの日、17号2ランを含む2安打2打点と当たっている丸。失点だけは絶対に許されない阪神ベンチは、当然ながら前進守備を敷くようナインに指示を送った。

 カウント1―0からスアレスが投じた155キロ直球を丸は強振。強烈な打球は三遊間へ飛んだが、これを遊撃・中野が横っ飛びでキャッチする超ファインプレーを披露。すぐさま本塁へ送球し三走・増田を封殺。原監督もたまらずリクエストを要求したが、判定が覆ることはなかった。

 なおも二死満塁とし、次打者・中田の打球はドライブ性の難しい遊撃へのライナー。だがこの打球も地面スレスレで中野が好捕しゲームセット。背番号51が試合最終盤で好守を連発し、サヨナラ負けを防いだ。

 2つのビッグプレーについて中野は「1点を与えたら終わりって場面でしたので、自分としても割り切って(本塁へ)送ることができた。とにかく攻める守備を心がけていた。きょうはいい引き分けだったと思う。残り2試合、勝ち切れるように頑張っていきたい」と試合後にコメント。熱戦の直後だろうと、ルーキーらしからぬ落ち着いた語り口はこの日も変わらなかった。

 失策数15はセ・トップ。だがこの日のように、「積極的に攻める守備」を貫いているからこその数字とも言えるだろう。監督就任以来「積極性」をナインに説き続けてきた矢野監督の哲学を体現するような25歳が、最後の最後にチームを救った。