〝復活〟でバンダナ死守だ! 阪神は23日の中日戦(バンテリン)に3―3で引き分け。この日は佐藤輝明内野手(22)が一軍に再昇格し、即「7番・右翼」でスタメン出場したが〝特大ファウル〟はあったものの、結果的には無安打2三振の再出発となった。今後は一日も早く〝復活〟を印象づけることが急務だが、それが自らのトレードマークを守ることにつながるという。

 9日のヤクルト戦以来となる一軍舞台で「7番・右翼」でスタメン出場。4回には、中日・笠原から右翼ポール際へ特大の当たりも放ち、いったんは「本塁打」と判定されたものの、リプレー検証で判定が覆り「ファウル」に。結果的には4打数無安打の船出になり、本人も試合後は「結果が出てないので何とも言えないですが、いい当たりも出たのでそこはポジティブに…」と言葉をつないだ。

 とはいえ「結果」への執着心は、プロ初の二軍生活を経験したことでこれまでよりも強くなった。降格後は二軍公式戦に出場。汗を流しつつ、他球団のファームのシステムも肌身で感じることができた。そこには弱肉強食の世界だからこそ存在するプロの規律の厳しさ。一軍ならば許されることも、二軍では〝自粛〟せざるを得ないものもある。なかには、自分のトレードマークにまつわる項目もあり「落ちていいことはない」と自らにハッパをかける機会にもなった。

 一軍昇格直前に訪れた21、22日、広島の二軍本拠地・由宇では、広島関係者から「あれ、阪神さんではいいの?」と佐藤輝がバンダナを身につけて練習する姿を指摘された。「ウチは100%ダメ。先輩選手が言わなくても(首脳陣やフロントの)大人が言う。理由? ここは二軍だから」と不思議がる姿もあったという。

 本人からすれば大量の汗で髪がベトつかないよう、または周囲に汗が飛ばないようにする必需品に過ぎず、阪神では糸原やサンズなども、このスタイルを採用している。そんなお気に入りのスタイルだが、二軍ではNGスタイルに指定されている球団が複数あるのだ。

〝NG球団〟のひとつ、広島関係者は「一軍にいる以上は18歳だろうが〝大人〟扱いされるけど、二軍にいれば話は別。大卒新人の彼は、社会人としては1年目。プロ野球という組織で〝規律〟の教育もしないといけない年次。ウチだけじゃなく多くの球団が『育成強化選手』の一環で、やっていることのひとつ」と説明した。

 矢野監督もチームトップの23本塁打を放つ佐藤輝の今回の二軍落ちを「リフレッシュ」という表現で話したように、今回の佐藤輝の一、二軍の往復劇はあらかじめ期限が設定され、受け入れる側の二軍からすれば〝お客さん〟だった可能性も否めない。だが、二度目の降格の際は、チームのいち選手扱いになる可能性もある。Vを目指すチームへの貢献と同時に、怪物にとっての残り試合は自らの〝個性〟を守り抜く戦いにもなる。