パ・リーグ首位を走るロッテが16日のソフトバンク戦(ペイペイ)に1―1で引き分け。オリックスが楽天に勝ったため、この日のマジック点灯は〝お預け〟となった。

 それでも16年ぶりとなる優勝は着々と迫ってきており、本紙評論家の得津高宏氏は「今年のロッテの強さの理由は、フロントも含めた『連係力』。それがこれまでにないほど発揮されているからではないかと思っています」と指摘した。

 どういうことか。

「井口監督を中心に、現場がやりたいこと、こうしてほしいという意思が、滞ることなくうまく各所に伝わっているという感じ。鳥越二軍監督と井口監督は、もちろんスムーズに意思疎通ができるわけですが、フロントの松本球団本部長も現場の意向通りの補強に動いてくれている。これは以前のロッテなら、考えられないこと。助っ人にしてもトレードにしても、現場が満足するような選手を、フロントはとってくれませんでしたから」(得津氏)

 今季のロッテは今夏の東京五輪に出場した選手が、一人もいなかったことでもわかるように、突出した成績を残している選手はいない。しかし、若い選手やベテランの力がうまくかみ合い、助っ人選手もこぞって活躍。井口監督の選手起用のうまさが注目されているが、昨季までヘッドを務め、井口監督が最も信頼している鳥越コーチを、今季から二軍監督に配置転換したことが、選手入れ替えの際などに大きな力を発揮している。

 そしてシーズン中に中日から加藤匠、DeNAから国吉、独立リーグから元広島の小窪、さらには元中日のロメロらを獲得するなど、フロントも現場をきっちりサポート。球団OBが驚くほど、一軍と二軍、現場とフロントがうまく連係している。

 かつてない「連係力」を武器にしたロッテは、このまま16年ぶりVまで突っ走れるか。