起死回生の一撃だった。阪神のジェフリー・マルテ内野手(30)が14日のヤクルト戦(神宮)の9回に同点の18号3ランをマーク。敗北寸前の剣が峰からチームを救い、4―4のドロー決着を演出した。

 1―4と3点を追う9回一死一、二塁。この日5回目の打席に入ったマルテは、カウント2―1から守護神マクガフの4球目、変化球を強振。雨降る神宮の夜空に舞い上がった白球は、虎党が陣取る左翼席へ吸い込まれるように消えた。

 チームは8回まで残塁11の大拙攻。嫌な空気を一撃で振り払う4番のアーチで、阪神ベンチは一気に沸騰した。ダイヤモンドを一周したマルテを迎え入れると、チーム総出の〝ラパンパラ〟で愛すべきドミニカンを祝福。「みんなのあきらめない姿勢が今日のような結果を生んだと思う。いい結果を出すことができてよかったよ」(マルテ)

 その裏のマウンドは守護神・スアレスが難なく3人でゲームをクローズ。その瞬間、阪神ベンチはまるで勝利したかのように、もう一度大きく沸いた。

 雨天による21分間の中断時間も含めれば4時間超となる長丁場の試合。ドロー決着で切り抜けた矢野監督も「ホンマに打ってくれた(笑い)。ウチの立場で言えば、引き分けってのは勝ちだと思う。(残塁続きの)みんなのモヤモヤを吹き飛ばしてくれた」と喜色満面で、チームの4番を称賛した。