もしも怪物がウチのチームで悩んでいたら…。9日のヤクルト戦(甲子園)に3―13で大敗した阪神で心配の種となっているのが、不振に陥っている佐藤輝明内野手(22)だ。この試合でも途中出場で2三振。35打席連続無安打と長いトンネルが続き、ファーム再調整が決定的となった。悩める22歳に今、有効な策は何なのか。ライバル球団の見解を聞いた。

 本拠地・甲子園でのヤクルト3連戦は、佐藤輝には新たな“試練の時”となった。このカード全試合でスタメン落ちし、この日も出番は途中出場の6回途中の右翼守備から。その後に迎えた6回、9回の2度の打席でも2三振。今季の三振数はこれで151となり、1997年の桧山進次郎の150を抜いて球団史上3位、球団日本人選手では最多三振となった。不振脱出の道は遠く、試合後の矢野監督は「今から考える」と初の二軍降格について話していた。

 とはいえ、ここまで球団の新人記録を塗り替える23本塁打を放ち首位快走の原動力になったのも事実。実際に“手痛い”一撃を食らい、苦杯をなめたライバル球団の関係者はこの現状をどう捉えているのか?「自軍に佐藤輝がいたら…」の仮定で“対処法”を聞いた。

「もうデータは一通り出ているし、打てるポイントとか、ゾーンも。バッテリーが制球ミスなく投げれば抑えられるという見解は各チームにあると思いますよ。春先と違うのは、より攻め方とか配球は複雑化したっていう部分はありますけど、それはどの打者でもあること。みんなが必ず通る道で、ここから先をより短い期間で修正できるか否かで、何年もレギュラーを張る人になるか、ならないかが決まるのも彼だけの話じゃない」

 こう前置きしたうえで最短距離で復調を模索するなら「ファーム行き」がベストの選択肢だという。

「劇的な変化を求めるのではなく、長い時間をかけて技術を高めていく段階。代打で1日1打席、結果の良しあしでどうこうという選手じゃない」と、無安打に終わった試合数とその打席数から、すでに打撃における「改良点」はピンポイントではなく、長期的視野に立った視点で行うのが理想という。

 別のセのスコアラーも「優勝争いでもう1回、力が必要と考えるなら9月のうちに一度、ファームで打席に立たせるのは悪いことじゃない」と指摘する。9月の7試合で佐藤輝のスタメンは2試合のみ。「汗をかく量も減ってると思いますからね。下半身にもう一度、ハリを作る意味でも走ることは大事かなと。決して根性論ではなく、下に行けばアメリカンノックなり、ロングティーなり『下半身』を使った動きのなかで、体のキレを取り戻せる。振ることが一番の持ち味である彼が、5日の試合では一度もバットを振らず三振をした打席があった。“反応”すらできなくなっている裏返しかなと」

 二軍での試合出場を通じた“ミニキャンプ”後に、最短で再登録をしたとしても、まだ一軍は25試合以上を残している。逆にウエスタン・リーグは9月中に全日程を終了することもあり“早期決断”はある意味では、ペナント終盤の最終兵器としての期待の裏返しでもありそうだ。