頼もしすぎる投球だ。ソフトバンクが8日の西武戦(メットライフ)に9―0で快勝。自力Vを復活させた。ヒーローは7回を無失点に抑えた千賀滉大投手(28)だ。昨季までは球数の多かった右腕が、連続して7回90球台ペースで快投。もちろん投球内容も圧巻で、後半戦は4戦4勝、防御率0・67だ。首脳陣は今回同様に中5日でのフル回転も検討している。さらなる〝進化〟を遂げたエースの投球がチームの風向きを大きく変えるかもしれない。

 まさに圧巻だった。今季初の中5日でのマウンド。「中5を短いとは思わない。中7日より投げやすい」と言い切って臨んだ。その言葉通りの投球だった。

 7回を投げて4安打無失点。後半戦は4戦全勝で、防御率0・67と完璧な投球を続けている。工藤監督も「千賀が投げる、イコール勝ちと。今日はドシッと座って何もしなくていいなと思っていました」と最敬礼した。

 名実ともに逆転Vへの切り札となりそうだ。上位3球団は団子状態。とにかく勝っていくしかない中で、右腕を一試合でも多く先発させたいところ。首脳陣は千賀自身の状態を聞きつつ、次回登板も中5日での登板を検討しているという。

 それだけ頼もしい〝進化〟を見せている。かねて千賀は2年連続奪三振王のドクターKで、昨季までは球数の多いタイプでもあった。それがこの日は無四球の球数91球で相手打線をねじ伏せた。千賀は「今日はラクすぎる展開を作ってくれた野手の人がすべてだと思っています」と話すが、前回2日の楽天戦(ペイペイ)でも7回を投げて94球と理想的な球数だった。

 五輪前は自己ワーストの10失点を喫するなどまさかの投球だった。それがまさに一変した。チーム関係者はこうも推察する。「五輪中に急ごしらえながら投球フォームを修正して以前に近い形に戻している。そこは間違いない。それに加えて、考える力のある投手なだけに、新たな形を模索してきた中で、そこから取り入れているものがあるのかもしれない。それがハマって自らの思うように投げられている状態なんじゃないか」。

 思うように投げられているのは間違いなさそうだ。後半戦の4試合で唯一、乱調だったのは8月25日の西武戦。同じメットライフドームだった。マウンドが低く感じるとあって、千賀も意識している球場で、7回2安打無失点ながら6四球で132球と苦しんだ。そんな中で今回の登板に向けて「メットライフ用の準備ができたら」と口にして見事にフィットさせた。

 無双状態となっている鷹のエース・千賀。大逆転Vに向けて「僕がコントロールできるところを一生懸命やるだけかなと思う」と頼もしく話した。