このままズルズルと行くな――。阪神は30日の中日戦(甲子園)も5―8で落とした先発・青柳晃洋(27)がまさかの乱調で、今季ワーストの4連敗。突如訪れた暗黒街道により、首位戦線にとどまれるかも楽観視できない状況となった。そんな苦境の虎に、東京五輪で金メダルを獲得した侍ジャパンから熱いエールが届いた。 


 この日は試合前までリーグトップ・タイの10勝、防御率1・91、最高勝率のリーグ三冠に君臨していた先発・青柳が炎上した。味方のまずい守備にも足を引っ張られ、3回に5連打を含む6本の長短打で5失点。本来の力を発揮できずに5回5失点で降板した。

 再び首位を目指す現状で、名実ともに今や投手陣の大黒柱になった青柳は、今後も再浮上の切り札として期待がかかる。その声はチーム内に限った話ではない。今夏、東京五輪代表としてともに戦った侍ジャパン首脳陣からも寄せられている。

 その思いは青柳だけでなく梅野や岩崎、さらに他球団の「侍メンバー全員」に対してであることに変わりないが「一時的にも〝預かった〟立場から言うと、チームに戻った後、さらに活躍してもらうのは一番、ホッとする。優勝を目指せるチームにいる選手は特に…。引き続き勢いがあるところを見せてほしいと思っているよ」(侍首脳陣)。阪神、オリックスなど五輪前の前半戦終了時点で、首位だったセ・パの2チームの選手の近況はことさら気になるのだという。

「成績的にもチームの中心で頑張っているのが分かるし、今年を終わるときに、五輪の金メダルが一番のハイライトになっただけでなく、自分の成績もチームも、すごくいいモノが残ったとなればね。プロ生活の中でも、これだけ条件がそろっている年って、なかなかない。何十年やって1年あるかどうか。長く現役やっても、縁のない人は本当にないから」。チーム復帰後もコンディションを落とすことなく、五輪と同等の高いモチベーションがあれば、さらにキャリアの中でも大きな節目を飾れるというわけだ。

 山本由伸、吉田正を擁し、後半戦も首位を快走するオリックスとは対照的に、猛虎は今まさに踏ん張りどころだ。梅野、青柳、岩崎と攻守の要所に修羅場をくぐってきた面々の前半戦以上の躍動を、侍首脳陣も息を潜めつつもひそかに期待している。