巨人の攻撃陣は“難敵”を打ち崩せるのか――。東京都内で15日、スタッフ会議が開催された。原監督は宮崎キャンプの練習メニューに秋季練習で取り入れた「超高速ピッチングマシン」の採用を公表。貧打に泣いた昨季の反省に立ち、打力向上を狙っての試みだが、実は単なる練習にとどまらない恐ろしい目的も含まれているという。

 野手陣にとっては寒気を覚える予告だろう。首脳陣の初顔合わせとなったこの日、原監督はキャンプメンバーの割り振りや練習メニューを確認したうえで、新たな試みとして、秋季練習でナインを苦しめた超高速マシンの採用を決めた。

 昨秋のジャイアンツ球場では、体感速度約160キロに設定されたマシンの剛球に選手たちは悲鳴を連発。打球が前に飛ばずにファンの失笑を買い、ナインの多くがプライドをズタズタにされた。

 そんな恐怖のメニューが今度は宮崎に登場する。対象は一、二軍の全野手陣。さらに金属バットでの実践も検討しているという。当初、コーチ間ではファンの視線が届きにくい室内にマシンを設置するプランも浮上していたが、指揮官は一蹴し「メーン(球場)の1か所には必ず置く。少々打てない人は恥をかいてもらうということもあるでしょう」とサディスティックな笑みを浮かべた。

 首脳陣が速球対策に熱を上げるのは昨季、メッセンジャー(阪神)や大谷(日本ハム)ら速球派の投手攻略に苦しんだ印象が強く残っているからだ。さらに今回の高速マシン練習には、生き残りをかけたテストの意味合いも含まれているという。

 村田打撃総合コーチは「最初はファウルばかりでも、選手はプロだから工夫して打とうとするだろう。宮崎期間中に全員が前に飛ぶようになれば」と語った。だがこの日の会議に加わったあるスタッフは「逆に言えば、前に飛ばせなかった選手は恥をかくだけでは済まないということだよ。監督があえて多くのファンが集まるメーン球場にしたのは、本気になった選手の限界が知りたいから。そこで『速球に弱い』と見切られたら最後。シーズン中も球が速い投手との対戦では外されることになるだろう」と隠された意図を指摘した。

 主力も若手も関係なく課されることになるサバイバルテスト。160キロマシンとの戦いに敗れて、レギュラー争いから脱落するのは誰か。