逆転Vの切り札になり得るのか…。巨人・菅野智之投手(31)が26日の広島戦(東京ドーム)で約2か月ぶりに復帰し、3発を浴びて6回5失点でKOされた。前半戦は故障と不調に苦しめられ、4度の登録抹消を経て東京五輪出場も辞退。プロ通算103勝、今季は4年連続で開幕投手も務めた菅野が置かれた立場は――。

 再起をかけたマウンドでも結果は残せなかった。初回から鈴木誠と坂倉に2者連続アーチを浴びて3点を献上。2回以降は無失点で抑えたが、6回に二死一塁から菊池涼にも2ランを食らい、この回で降板した。その後に登板した戸根、桜井も揃って3ランを献上し、計5被弾。打線も苦手の九里を攻略できず、2―11の大敗を喫した。

 チームの連勝を2で止めてしまった菅野は「チームとして大事な時期の登板でゲームをつくれず申し訳ないです」と反省の言葉を残した。

 日本球界を代表するエースが苦境から抜け出せない。「コンディション不良」の影響で7月1日の登板を最後に故障班に合流し、五輪出場も辞退。懸命に状態を戻す努力を重ね、7年ぶりに二軍戦にも登板した。菅野の回復ぶりを照らし合わせながら後半戦の先発ローテが組まれ、その結果与えられた場所は「6番手」。安定感が光る山口が開幕投手となり、前半戦で9勝を挙げた高橋や戸郷、メルセデス、ブレークが期待された3年目の直江の後塵を拝した格好だった。

 さらに、6番手に組み込まれたことにライバル球団から別の〝思惑〟も指摘されていた。「チーム事情や調整の具合もあるだろうけど、菅野は6番目で満足できる男ではないでしょう。『自分の居場所を取り戻せ』という首脳陣のゲキでもあるのでは?」という声や「6番手であれば、相手のエースと投げ合う可能性は低い。そこで勝ち星を重ねながら、自信を取り戻させるというチームの配慮でもあるでしょう」との見方もあった。

 しかし、現実は完全復活とは程遠い結果。試合後の原監督は「(菅野の)個人的な部分だけで言うと『投げられた』というところで本人も満足しているところはあると思いますね。今後の反省と対策という部分で次に生かしてくれるでしょう」。本来であればチームを3連勝に導く投球が理想的だが、故障明けということでエースに多くの注文を付けることはなかった。

 とはいえ、今後は9月2週目まで6連戦が続く。直江が抹消されたことで先発は菅野を含めて5人しかない。宮本投手チーフコーチは二軍で先発登板し、この日3ランを被弾した戸根を起用するプランを明かした。菅野が本調子に戻れなければ、コマ不足はますます深刻化する。次回登板こそエースの輝きを取り戻せるか。