阪神から海外FA権を行使していた鳥谷敬内野手(33)が残留を決断した。阪神ナインや関係者は残留を大喜び。個人の夢よりチームの優勝を選んだ“男気”に、虎の主将の求心力は高まるばかり。“終身名誉キャプテン”就任を願う声まで上がっている。

「熟考に熟考を重ねた結果、残留することを決意しましたので皆様にお知らせさせていただきます。ファンの皆さんには、大きなご心配をおかけした分、『リーグ優勝』、『日本一』を勝ち取り、その喜びを共に分かち合えるよう、今シーズンも全力でプレーさせていただきたいと思います」。沖縄で自主トレ中の鳥谷は9日、残留の決断について、球団を通じてこうコメントした。

 フロントも現場もひと安心で、坂井オーナーが「ええ結果になってホッとしている」と言えば、和田監督も「本人は相当悩んだと思うけれど、チームにとっても、いい結論を出してくれた」と胸をなで下ろした。鳴尾浜で自主トレを開始した藤浪も「自分としては心強い。球界でナンバーワンのショートだと思う。それだけの方が守ってくださるというのは、やはり違うと思います」と話した。

 鳥谷の存在感は絶大で2013年からキャプテンを務め、リーダーシップを発揮。あるナインは「背中や姿勢でチームを引っ張ってくれるし、若手にとっては練習や試合に臨む姿勢がお手本。もし、いなくなれば穴は絶対、埋まらなかった」と力説する。また「夢よりもチームを取った形だし、選手もみんな『やっぱり鳥さんは虎のリーダー』と、より強く思ったようだ」(チーム関係者)と、その求心力はさらにアップするとみている。

 ナインからは「せっかく残ったし、このまま終身キャプテンになってほしい」との声も。年齢的なことも踏まえて「将来を見据えて、近いうちに上本や梅野のような若手にキャプテンを譲ることになる可能性が高い」との見方もチーム内にはあるが、鳥谷だけは特別な存在。「たとえキャプテン職を引いてもリーダーシップは発揮し続けてもらうため、終身名誉キャプテンに就任してもらえばいい」というわけだ。

 オフの補強が連敗続きの阪神だったが“終身名誉キャプテン”誕生で優勝の起爆剤になるか。