中日・溝脇隼人内野手(27)が9年目にしてプロ初となる4安打を放ち、チームの連勝に貢献した。

 21日の阪神戦(バンテリン)で「8番・二塁」で先発出場。1点リードした2回の第1打席は二塁内野安打で出塁し、3点目のホームを踏んだ。4回無死二塁の第2打席では一塁への絶妙なセーフティーバントを決め、その後、またも生還。6回は中前打、8回無死一、三塁では右前へ適時打を放つと、二盗も成功させた。結局、この日、4打数4安打1打点1盗塁の大暴れで躍動した。

 ヒーローとなり、お立ち台に上がった溝脇だが「今日が良かったからと言って、スッキリはしていない。だいぶチームに迷惑をかけている。ここから取り返していく気持ちで、またスタートしたい。20打席近くノーヒットでも使い続けてくれた。毎日、コーチの方にいろいろ付きっ切りで指導してもらったので、それを返せるように」。試合後、浮かれた様子はなし。

 6月6日に今季一軍初昇格も10試合に出場し12打数無安打と結果を残せず、7月8日に二軍落ち。その際の心境を「一軍に来てああいう日々ばかりだったので、全く野球をしたい気持ちになれなかった。野球をしてても全然楽しくなくなって、でも球場に行くと、特に波留(二軍打撃コーチ)さんとかがハッパかけてくれた。それで少し前向きに楽しくやれた」と明かす。

 さらに二軍で打率3割以上の結果を残し、14日に再昇格してからも「ほぼ一軍にいるときは寝ようとしても眠れなかった。だいぶ苦しくて、目をつぶっても野球のことが頭に出てくるので。バットを握らないようにして野球のことを考えないようにしたりもした」と吐露する。

 与田監督は「調子悪いときでも必死になって練習していた成果が今日はいい形になった。明日以降もまた続けてほしい」と期待を寄せるが、溝脇は「今日はたまたま良かった感じ。気持ち的に正直、そこまで『キター!』とは思っていない」と気を引き締めている。