鳥谷「阪神残留」の決め手は代理人の言葉だった

2015年01月09日 16時00分

阪神残留を決めた鳥谷

 補強失敗続きのトラに“吉報”が届いた。阪神から海外FA宣言していた鳥谷敬内野手(33)の残留が8日、明らかになった。長年の夢であったメジャー挑戦を明言してから約2か月間、球団からは強く慰留され、ナイン、ファンからも残留コールを送られていた。悩み抜いた末での結論。決め手になったのは全てを任せた大物代理人のスコット・ボラス氏の「ある言葉」だった――。

 日米で注目されていた鳥谷の去就が阪神残留で決着した。早大時代から憧れだったメジャーでプレーする夢を諦めたのだ。今オフ、補強戦線で失敗続きの阪神にとっては明るいニュースとなった。決断の背景に何があったのか。

 実は鳥谷の動向を注視してきたメジャー各球団のスカウトはすでに残留を確信していた。あるメジャー球団スカウトはこう明かしていた。

「ボラス氏が鳥谷に阪神に残ることを強く勧めていると聞いた。ボラス氏は当初、メジャー各球団に鳥谷を市場価格の3、4割増しで交渉してきたが、どこもいい返事は最後までなかった。それは当然で契約年数も最大2年がいいところ。となればもともと、条件が一番いい阪神、ここを推す。取り分(手数料)を思えば当然で、鳥谷本人もボラス氏に一任しているから、残留で落ち着くはずだ」

 さらに別のメジャー球団スカウトも「鳥谷は阪神に残る。まだ契約が決まっていない(ロイヤルズFAの)青木のケースとは違う。鳥谷にはメジャーの実績がない分、やはり条件も青木より厳しい。鳥谷がそれでもいいなら阪神に残らない、と退路を断っているはず。それがないのはボラス氏が残留を勧めているからだ」と証言していた。

 当初から懸念された通り、鳥谷個人というよりも米球界で日本人内野手に対する評価は低い。ブルージェイズ、パドレス、メッツなど興味を示した球団もあったが、いずれも年俸は抑えられ、2年目の契約は球団に選択権があるなど条件は悪かった。対して、阪神は4年16億円の大型契約で、引退後のバックアップまであるとみられる。それを踏まえればボラス氏が残留を勧めるのも当然だ。

 鳥谷としてもこれ以上、結論を先延ばしにするわけにはいかなかった。球団では鳥谷の移籍を想定して中堅手・大和らのコンバートが浮上。今季が背水イヤーとなる和田監督は「まだ結論が出ない以上、(チーム編成は)何も考えられない」と訴え、平田ヘッドコーチも「中島(オリックス)が獲れなかったとか以上に、鳥谷さえ残ってくれたらウチは大丈夫なんだ」と声を大にした。

 球団内から「このままでは世間的に印象が悪くなる。本人のメジャーにかける思いがどこまでなのか、が見えない。ウチは条件もいい。補強の失敗が続いたチームを救うため残ってくれれば男が上がる」との声も上がっていた。また、埼玉県に住む鳥谷の父・敏さんも「一体、どうなっているのか何も知らされてないし、分からない。情報が欲しい」と心配顔だった。それだけに誰もが鳥谷の決断にホッとしただろう。

「(阪神から)何を言われても気持ちが変わることはない」とかつてメジャーへの強い思いを口にしていた鳥谷。残念ながら夢はかなわなかったが、その悔しさは球団創立80周年の今季、大暴れして晴らせばいい。(金額は推定)