同僚への暴行発覚で球団から無期限出場停止処分を受けている日本ハム・中田翔内野手(32)の去就が注目を集め始めている。チームを指揮する栗山英樹監督(60)がここにきて今後の中田への処遇に言及。放出も辞さない構えを見せているが、暴力行為に及んだ高給取りを引き取る球団はそうはない。そんな中、中田が最後にすがりそうなチームが浮上してきた。

 中田は4日のエキシビションマッチ・DeNA戦(函館)の試合前に同僚投手の一人に暴行に及んだ。この行為を重く見た球団側は、同日の試合開始直後に中田を途中交代させ、そのまま自宅謹慎を命じた。どんな理由があれ、同僚への暴力は絶対に認められない。そんな思いもあり、球団はチームの看板選手に容赦ない重罰を科した。

 これまで再三にわたり「イジリ」と称した同僚への嫌がらせを続けてきた中田に、球団側も堪忍袋の緒が切れた。その表れが16日の栗山監督の発言。中田の今後について「正直、このチームでは(今後プレーするのは)難しいかな」と放出を示唆した。

 これまで主砲をかばい続けてきた栗山監督が、中田を見放す覚悟を示したことで、居場所はなくなった。今オフの放出、他球団への移籍がいよいよ現実味を帯びてきた。

 とはいえ、実力があっても暴行事件を起こした選手を他球団も容易に受け入れるわけにはいかない。中田は若手ではなく今やベテランの域に達する選手。チームに与える影響力も半端ない。3億4000万円(推定)と球界屈指の高年俸を誇るため、引き取り手がない可能性は十分にある。

 そんな中田は今後どうなるのか。球界内でささやかれているのが「最後は福良さんにすがるのではないか」との声。わらにもすがる思いで、福良淳一GM(61)のオリックスでのプレーを望むのではと言われている。

 福良GMは2005年に日本ハムの打撃コーチに就任。以後、12年まで二軍監督やヘッドコーチなどを務め、若手育成に手腕を発揮した。その育成下で成長したのが中田で、今も実力を高く評価している。

 中田自身も日本ハム入団後の伸び悩んでいた時期に、積極的に一軍で起用してくれた福良GMには恩がある。しかも、現在オリックスの指揮官は、長年同僚だった中嶋聡監督(52)が務めている。

 しかし、中田を知る日本ハムOBは「仮に本人がオリックス入りを望んだとしても、今のオリックスは若手野手が急成長している。このチーム状況を考えれば中田を獲ることは考えにくい。村田修一や中村紀洋のようになるのでは」と、現役続行を希望しながらもNPB球団から声がかかることなく、最終的には引退した両氏のパターンを予測。

 それでも「福良さんや中嶋監督は中田の扱いには慣れている。中田自身が猛省し『一軍最低年俸でプレーするので』と懇願されれば、あるいは…」と、わずかな可能性についても言及した。

 無期限出場停止から急転直下で退団濃厚になりつつある状況だが…球界を代表する主砲は、果たして来季ユニホーム姿を見せることができるのか。