ノーコン投手から日本最速右腕へ――。巨人の守護神で来日2年目右腕のチアゴ・ビエイラ投手(28)に、球界内から大きな注目が集まっている。並外れた剛速球が武器の右腕は、13日の中日戦(東京ドーム)で日本球界最速となる166キロを記録。7月に行われた球宴にも初出場するなど成長著しいが、他球団からは「絶対に打てない」と早くも白旗を上げる声も聞こえてきた。果たしてその訳とは…。

 ブラジル出身のビエイラはホワイトソックスを経て2020年から巨人でプレー。入団時から160キロ超の速球を高く評価されていたが、課題とする制球難に苦しみ、一軍と二軍を往復する日々が続いた。それでも、昨季終盤は一軍に定着すると、11月25日に行われた日本シリーズ第4戦・ソフトバンク戦(ペイペイ)では自己&シリーズ最速を更新する164キロを記録し、大きな衝撃を与えた。

 チーム内では誰にも負けない「練習の鬼」として知られ、誰よりも多くハードな練習を行っていることで有名。宮本投手チーフコーチも「ブラジルで日系人の方に野球を教わっているからね。つらい練習っていうのを彼はやってきているから。ウチの選手で誰が練習量すごいかって言ったらビエイラだからね」と称賛。原監督も「これまで何度もファームに行ったが、その都度、投手コーチと私と『今回はこういう課題だな』と明るく受け止めながら前向きにいっている姿は非常に頼もしかった。成長してくれているなという感じがしますね」と大絶賛するなど、練習への真摯な向き合い方は首脳陣からも高い評価を受けている。

 そんな優良助っ人に対して、早くも他球団からは「今の彼を打ち崩すことはほぼ不可能に近いのでは」との声が噴出。エキシビションマッチでビエイラの剛速球を見たある球団の主力選手は「なんで終盤にあんなのが出てくるんだよ。打てるわけないだろ…」と本音をポロリ。同球団関係者も「普段からスピードボールに見慣れているパ・リーグの打者ですら反応が遅れている。ただの球が速いだけの投手じゃないってことですよ」とため息交じりに語った。

 では、一体なぜビエイラの球は打てないのか。別の球界関係者は「ビエイラの前に、最速140キロ台の大江や高梨など軟投派が出てくると、緩急の差が最大で40~50キロにもなる。ビエイラのウイークポイントだった制球力も改善され始めてますし、頭では分かっていても体はそう簡単に反応できない次元の投球になってきているんですよ」と分析した。

 実際にここまで無失点記録を継続してきた25試合を振り返ると、大江と高梨からの継投は合わせて7試合で、大江に関しては最多となる5度の継投策を敢行。球速の落差が効果的に発揮されていることは確かだろう。

 自身のポテンシャルはもちろんのこと、継投策次第ではさらに大化けする可能性が秘められている〝日本最速男〟。今後もチームの守護神として勝利を確かなものとする。