ソフトバンクが15日の日本ハム戦(ペイペイ)で継投によるノーヒットノーランを完成させた。打線が不発で0―0で引き分けたが、今カードは投手陣が1点も与えず2勝1分けで勝ち越し。工藤監督は「後半にかける思いを投手が形として表現してくれた」と笑顔を浮かべた。

 史上最多の6投手による〝ノーノー継投〟。快挙を呼んだのは一軍初先発だったカーター・スチュワート(21)だ。最速157キロの力強い直球に変化球を交えて5回ノーヒット9三振。「初めての一軍の(先発)登板で今日のような投球ができて良かった。いい経験ができたと思う」と充実した表情を浮かべた。

 かねて世界戦略を掲げている球団としても大きな第1歩となった。スチュワートは2018年に米ドラフトでブレーブスから1巡目指名を受けながらも、契約合意に至らず日本球界入りした前例のない存在だ。入団時は19歳。素材型で当初は完成度も低かったが、3年目でここまで育ってきた。

 米球界では有望株でもメジャー昇格までの〝下積み期間〟があり年俸は安い。スチュワート自身が「自分が成功して来る人が増えるかもしれない。そういうことも考えて決めた」と口にしているように「彼の活躍で新たに日本を選択肢にする選手が出てくる可能性は十分にある」(チーム関係者)。このプロジェクトの成功が「第2弾」の可能性にもつながってくる。

 ソフトバンクはスチュワート以前に別の米国選手による同様の売り込みを見送ってもいる。「何より環境に適応できるかも含めて性格面などのチェックが必要」(球団関係者)。通常の外国人補強以上に性格などの見極めを重要視しているが、仮に魅力的な選手が登場した場合に成功球団としてのブランド力が生きるのは間違いない。

 若手外国人補強の本流だったキューバ路線は、モイネロの大成功があるものの、同時に獲得したコラスは亡命。今季もロドリゲスが姿を消した。ルート変更の必要性が出ている。成功例の確立はドミニカ共和国などのホープ獲得にもプラスとなる。パイオニアを自任する右腕にかかる期待は大きい。