崖っぷちを乗り越え、いざ一軍のマウンドへ――。巨人の沼田翔平投手(21)が29日に、ジャイアンツ球場で行われた一軍全体練習に参加した。

 沼田は21日に開催されたチーム内対抗戦「リアルジャイアンツカップ」で1回を投げて無安打と好投。その実績を評価され、晴れて一軍に召集となった。

 待望の一軍合流に「アピールできるチャンスなので、そこはしっかり押さえて結果を出したいなという思いはあります」と抱負を語った右腕だが、ここまでの道のりは決して楽なものではなかった。

 今季は開幕をファームで迎えると、二軍戦で21試合に登板して防御率は6・14。決して本人も満足のいく内容ではないが、二軍首脳陣からは「とにかく我慢して結果が出るのを待つ。やることは変えずに継続して行うこと」をテーマとして伝えられ、地道な努力を続けてきた。

 結果としてリアルジャイアンツカップでの好投に繋がった格好だが、なかなか結果が出ない日々はもがき苦しんだ。時には「『野球を辞めてえ』てなりましたよ。何の意味があるんだ…て」と、くじけかけた時もあったという。

 そんな崖っぷちにいた右腕を救ったのは、ここまで練習を継続してきた自分自身でもあった。「これやってみたらどうかな? て部分が何個もあったので。それをやってダメだったら腑に落ちるだろう、と。やってみて結果が出るときもあったので、もうちょっと頑張っても良いんじゃない? てなるじゃないですか。そんなのがちょいちょいあったので…」。

 耐え忍んだ末の努力が実り、遂にはチャンスをつかんだ沼田。「1周回って(吹っ切れた)。考えすぎないように」。精神面でも大きく成長した若きG投が、この夏、猛アピールを仕掛ける。