ムードメーカーが決めた。広島は6月30日の巨人戦(東京ドーム)に1―0で完封勝ちした。先発の九里が8回途中を無失点の好投。バード、栗林も無失点でつなぎ、付け入る隙を与えなかった。引き分け以下なら自力V消滅の危機を何とか免れた。

 ヒーローインタビューは九里だったが、勝利の立役者はもう一人いる。それが野間峻祥外野手(28)だ。8回一死まで無安打と苦しめられた巨人先発・山口から値千金の今季1号ソロ。野間は「食らいついていく気持ちでいった結果、しっかりとらえることができて良かった」と話した。

 今年の開幕は二軍スタート。一軍に合流したのはチームがコロナ禍に見舞われた5月中旬だった。そこから先発出場した試合もあったが、なかなかレギュラーをつかみきれずにいた。6月中旬にスタメン出場する機会が増えたが、6月27日の中日戦では犠打に失敗するなどの細かいミスもあった。

 野間は「結果をとにかく出さないといけない立場。本当に先のことというよりは目の前の試合の一試合一試合、チームが勝つことを考えれば、自分の結果も良くなってくると思うので」と話す。そんな野間は鈴木誠とともにチームの盛り上げ役でもある。

 ベンチ内のムードを明るくする存在の野間の活躍で、広島にいい流れが来つつある。佐々岡監督は野間に「まさか本塁打とは思いませんでしたけど、調子のいい証拠だと思います」とたたえ、瀬戸際のチームの浮上に向けて「明日もまた勝っていくしかない」と前を向いた。