カノに死球与えた西の謝罪は「侍の美徳」

2014年11月18日 16時00分

西(中)はファレル監督(左)にも頭を下げた

 日米の野球観の違いが意外なところで浮き彫りになった。「2014 SUZUKI日米野球」第3戦(15日・東京ドーム)で、日本代表・侍ジャパンの西勇輝(24=オリックス)が、MLB選抜のロビンソン・カノ内野手(32=マリナーズ)に死球をぶつけて右足小指を骨折させるアクシデントが発生。その瞬間、マウンド上で西は帽子を取って頭を下げ、翌16日もカノ本人に謝罪して“和解”したが、これに米メディアからは驚きの声が上がっている。

 

 米スポーツ専門局「ESPN」では、日米野球における西の謝罪行為について「日本プロ野球の不思議文化」と報じた。そもそもメジャーでは、死球をぶつけた投手が相手打者に謝罪をすると「わざとぶつけた」と故意とみなされる恐れがあるため“タブー”とされている。そこで、うがった見方をする米メディアからは「カノは今回許したが、もしこれが他のメジャーリーガーだったら、謝ったことが逆に失礼になるのではないか」との声も出ている。

 

 侍ジャパンが残り2試合(18日・第5戦と20日・親善試合)の日米野球、さらにWBCを含めた今後の国際試合においてメジャーリーガーと戦う上で「死球の際の振る舞い方」は避けて通れない重要なテーマとなりそうだが、首脳陣はどう考えているのか。

 

 16日の第4戦(東京ドーム)試合前、当事者の西に付き添ってMLB選抜のファレル監督に謝罪した侍ジャパンの鹿取義隆投手コーチ(57)は、本紙の取材に「今後も謝罪する姿勢は変える必要はない」と明言した。

 

「そういうこと(日米の考え方の違い)は自分も米国で野球留学をしていたから当然知っている。でも、謝ることは日本野球の文化だからね。だからあの(西の死球の)時もちゅうちょすることなく謝るべきと思った。日本では相手にぶつけてしまった時だけでなく、手元が狂って危なっかしいコースへ行ってしまった時だって投手は謝ることがある。意図的じゃないわけだから、きちんと帽子を取って謝罪するのは日本人として当たり前の美徳だと思う。これからも(侍)ジャパンとして貫くべきでしょう」

 

 とはいえ今後メジャーリーガーとの対戦で侍ジャパンの投手たちが「美徳」を貫いた結果、思わぬ誤解を招いてしまうこともあるかもしれない。それでも鹿取コーチは「いや、それがもう日本のスタイルだから。相手にぶつけてしまったのに国際試合で相手がメジャーだからといって謝らなかったらおかしいし、投手もリズムが狂ってしまうと思う」。悪いことをしてしまったら謝るのは日本の文化であり美徳――。侍ジャパンの姿勢は明確だ。