中日から唯一人、東京五輪の野球日本代表に選出されたエース・大野雄大投手(32)が反骨心をむき出しにしている。

 昨季は6完封を含む10完投で11勝6敗、防御率1・82の活躍で沢村賞を手にしたが、今季は21日現在、登板10試合で3勝4敗、防御率3・49。落選の可能性もある中で何とか滑り込んだ格好だ。

 五輪まで約1か月となり、このまま調子が上がってこなければ「辞退した方がいい」などと厳しい声も出てきかねない。今後は侍ジャパン戦士として周囲からも厳しい目で見られることは必至だが、それを一番理解しているのが大野雄自身だ。

「いいプレッシャーにしていく。もちろん(結果を残さないと)言われることは間違いない。それを覚悟で選ばれたいとアピールし続けてきた。プレッシャーを感じながら、それを力に変えたい。それくらい跳ね返さないと、本番でも耐えられない」と覚悟を決めている。

 昨季も開幕当初は6試合で0勝3敗と勝ち運に恵まれなかったが、7月31日に初勝利を挙げて、そこから11勝と波に乗った。それだけにチーム関係者は「去年だって開幕してからしばらく勝てなくて苦しんだけど、そこから沢村賞を獲るほどの無双ぶりを見せた雄大なら、今季もきっちりと五輪本番へ向けて調子を上げてくると信じている。それだけ精神力が強い男だよ」と心配するどころか、太鼓判を押す。

 侍ジャパン入りし、五輪で金メダルを獲得することがずっと夢だった。「目標というのはブレずに持っていた。その中で選ばれたというのはうれしいが、でも、選ばれて終わりではない。金メダルを獲得して初めて喜べるものだと思う。重圧も相当あるが、自分で望んでいたことなので、金メダルを取りたい。選んでいただいた稲葉監督をはじめ首脳陣の方々には感謝しているので、その恩返しをしたい」。エースの決意は揺るぎない。