ビッグチャンスをモノにできるか。主力の離脱や電撃退団に揺れた巨人で、若手に下克上の好機が到来している。高卒4年目の湯浅大内野手(21)もその一人で、坂本勇人内野手(32)を師と仰ぎ、オフの自主トレにも帯同。原辰徳監督(62)からは〝2000安打指令〟が飛び出すなど「坂本2世」との呼び声も高い。さらに昨季、村田修一野手総合コーチ(40)から叩き込まれた矜持とは――。

 首位阪神に2連勝を飾った巨人は21日に金沢入り。22日からのDeNA戦に向け「左太もも裏の違和感」で離脱した梶谷も合流したものの、スモークが電撃退団するなど戦力が整わない状況が続く。

 この苦境にフロントもヤングGに大号令。大塚球団副代表は補強の可能性を示唆しつつも「ピンチというのは若い選手に大チャンスだから」とハッパをかけた。湯浅もブレークを期待されている若手の一人。172センチと小柄ながら、昨季は二軍で盗塁王に輝いた俊足に加え、遊撃を本職とする守備では二塁、三塁、外野もこなせる。現在は代走の切り札・増田大と二塁レギュラーの吉川が故障離脱中。両打ちのユーティリティープレーヤーの若林も二軍再調整で、湯浅にとっては最大の好機だ。

 打撃では11日のロッテ戦(ZOZOマリン)で待望のプロ初安打をマークし、師匠の坂本も大喜びだった。原監督からは記念ボールに、坂本に続けとばかりに「2000本目指せ!」とのメッセージまで添えられた。

 飛躍へのカギは昨季経験した〝自滅〟を乗り越えられるかだろう。昨年のオープン戦で打率3割9分1厘をマークし、6月の練習試合でも特大3ランを放つなど原監督ら一軍首脳陣をうならせたが、開幕後に打棒がピタリと止まり、1週間で二軍落ち。その二軍で待ち構えていたのが村田修コーチだった。

 昨季は二軍コーチで、一軍から降格してきた湯浅を徹底的に指導。今春キャンプでは「体は大きくはないけど、伸びしろは高いと思いますね。身体能力も高い。面白い存在」と認めつつ、二軍では湯浅の耳にタコができるほど一軍で生き残るための〝格言〟を叩き込んだ。

「開幕してスイッチが入った一軍のピッチャーを開幕から打てないと、一流の選手にはなれねえぞ。続ける力をつけろ」

 本気になった相手をどう攻略し、いかに結果を出し続けていくか。湯浅は初安打を皮切りに、ここまで打率4割(10打数4安打)。このままコンスタントにバットでもアピールを続けられるかが今後の鍵となる。

「引き続きヒットを打てるように頑張ります」と意気込んでいた湯浅の〝ノルマ達成〟まで残り1996安打。途方もない道のりとなるが、元三遊間コンビの遺伝子を受け継ぐ若武者は、今年こそ突き抜けらるか――。