閉塞感が漂う中、起爆剤候補の胸中は――。ソフトバンクは20日の日本ハム戦(ペイペイ)に1―1の引き分け。柳田の15号ソロで追いつき敗戦を免れたが、打線が今季最少タイの2安打に封じられた。得点圏に一度も走者を進められず、三者凡退は6度。本拠地で7戦勝ちなしという事実が、重くのしかかった。

 長丁場のシーズン、一時的な打線の低迷は珍しくない。だが、最近はベンチのムード、閉塞感を気にかける声が身内からも漏れ始めている。そんな状況ゆえに、OBやチーム関係者からは「起爆剤」待望論が強まっている。

 首脳陣は19日から高卒6年目の谷川原を招聘。同日即スタメンで一軍デビューさせると、初安打を初本塁打で飾った。これには球団内から「ああいう風に若手が出て、打ったら起爆剤になる」との声が上がっている。

 起爆剤候補として名前が挙がり続ける男がいる。昨季のウエスタン・リーグ2冠王で今季も同リーグの本塁打、打点で2冠独走中のリチャード内野手(22)だ。課題だった集中力やメンタル面の改善を二軍首脳陣も評価し「昇格候補」の一人であるのは確かだが、なかなかお呼びがかからないのが現状だ。

 リチャードは今、どんな胸中で戦っているのか。「とにかく打ち続けるだけっす。今は『沖縄までに一軍に上がるんだ』っていう気持ちでやってます」。来月3、4日に那覇で行われる日本ハム戦での地元凱旋を目標に奮闘している。これには熱視線を送る王球団会長も「地元で試合があるのなら、結果を出して沖縄に凱旋しないとね。その気があるのなら、なおさら頑張らないとね」とひたむきな姿勢に目を細め、背中を押している。

 守備位置の選択肢は限られるが、明るい性格で場の雰囲気を和ませるキャラクターも相まって待望論は高まっている。