天国の母へ――。巨人・坂本勇人内野手(32)が19日の阪神戦(甲子園)で、公式戦通算250本塁打を記録した。

 2―1の6回二死。僅差を争う展開の中、前打者の岡本和が併殺打に倒れ、嫌なムードが漂った直後だった。相手先発・伊藤将の初球を叩いて左翼スタンドへ。流れをグッと引き寄せた今季8号ソロは、プロ15年目で到達した節目の一発となった。

 坂本にとって特別な一日だった。この日は、ルーキーイヤーの2007年に小腸がんで亡くなった母・輝美さん(享年47)の命日。幼少期から誰よりも応援してくれた最愛の母が旅立った日に、自らのバットでメモリアルアーチをかけた。

 試合に集中するため、ゲームセット前までは「いろんな気持ち、言いたいことがありますけどね」と語るにとどめていたが、試合を終えた坂本はワンフレーズに全ての感情を込めた。

「オカンも喜んでくれているんじゃないですか」

 守備でもチームをもり立てた。1点リードの5回二死三塁の場面で、高いバウンドで投手の頭上を越えてきたゴロを前進して捕球し、素早い送球で俊足の中野を一塁でアウトにした。同点を阻止したプレーに試合後の原監督も「いやあ、大きいですね。『アッ』という打球だったですけれども、しっかりとさばいてくれた。ナイスプレーですね」とたたえた。

 やはり背番号6が躍動すればチームは活気づく。6―2で勝利し、首位阪神との3連戦はこれで1勝1敗の五分。再び7ゲーム差に縮めて臨む20日の3戦目。主将を中心に生み出した勢いで猛虎に食い下がる。