G投へのカンフル剤となるか。米大リーグのジャイアンツ傘下3Aサクラメントから山口俊投手(33)が2年ぶりとなる巨人復帰を果たした。7ゲーム差で虎を追い上げるための〝切り札〟としてだけでなく、新天地で苦しむFA戦士やホープへの〝相乗効果〟もチーム内外から期待されている。

 リモートによる11日の入団会見で、山口は米国ではシルバーだった髪を黒く染め、再び心身ともに巨人の一員となった。「もう結果しかないと思っている。体も元気ですし、しっかり合流して登板時はしっかり投げていければなと思います」と大車輪での活躍を約束した。

 20日までの自主隔離期間が終われば、二軍での調整を経て一軍の舞台に上がる。右ヒジの違和感から復帰後、2連敗を喫しているエース菅野らG先発陣には不安要素が多く、米国帰りの右腕への期待は大きい。

 投手としての活躍はもちろん、その存在がG投手陣に好影響を与えそうだという。その筆頭がDeNAで同じ釜の飯を食べた井納翔一投手(35)だ。

 推定年俸1億円の2年契約でFA加入した井納は開幕前に頭部裂傷でつまずき、Gデビュー戦となった3月31日の中日戦(バンテリン)で2回途中4失点KO。中継ぎに回っても結果が出ず、登板5試合で0勝1敗、防御率14・40と散々だ。二軍でも先発した12日の楽天戦で5回途中5失点と調子は上がらず、袋小路をさまよっている。

 DeNA時代の井納はその性格を知り尽くした木塚投手コーチらの指導の下、結果を出してきた。古巣関係者は「木塚コーチは井納に対して厳しく言うときと緩めるときのタイミングが絶妙だった。井納の場合は集中させすぎてもダメ。FAで入った巨人では〝やらなきゃいけない〟という思いが強く出すぎているのでは」と指摘する。

 DeNA時代、山口と井納はローテの両輪として活躍。2016年に山口がケガで開幕投手、オールスターを回避したときはいずれも井納が代役を務めた。巨人に加入したFA戦士の重圧や気苦労も山口は経験済み。チーム内から「山口の存在が井納の気持ちを少しでも楽にしてくれたら」と井納再生の〝切り札〟としても期待されている。

 3年目右腕・戸郷翔征投手(21)にとっても、プロ1年目の19年オフから自主トレをともにした山口は頼もしい存在だ。〝師匠〟と慕ってフォークを直伝されただけでなく、山口の渡米後も連絡を取り合い、シーズン中でも疑問点があれば聞いていた。「帰ってくるというのが決まったときに連絡しました。メジャーでの活躍が僕的にもいい気持ちのモチベーションになっていた」と今季6勝とローテを引っ張る若武者は直接の助言を心待ちにしている。

「違う野球観であったり、そういうところを少なからず他の選手が聞いてくれることがあれば、伝えられたなというのはありますね」とチームへの恩返しを誓う背番号99。託された役目は多い。