ソフトバンク・千賀滉大投手(28)が驚異の回復力を見せている。今季初登板となった4月6日の日本ハム戦で左足首の靱帯を損傷。球団発表では「競技復帰まで2~3か月」とされたが、今月12日にシート打撃に登板し、最速156キロのボールを投げ込んだ。

 世間的に「急回復」のイメージがあるかもしれないが、青写真通りだ。千賀が負傷後初めてリハビリ施設に姿を現したのは4月17日。その時点でチーム関係者は「『競技復帰まで』とは『一軍復帰まで』という意味」と強調していた。17日には50球をメドに三軍戦で実戦復帰。着実にXデーが近づいている。

 エースの早期復帰は有形無形の好影響をチームにもたらす。倉野ファーム投手統括コーチは「五輪明け(8月中旬)に一軍復帰するのか、球宴前(7月中旬)までに一軍で投げるのかは、本人にとってもチームにとっても大違い。(五輪開催中の)中断期間の過ごし方が全然違ってくる。今後の調整状況、一軍のチーム状況にもよるが、戻れるなら早い方がいい」と言う。本人に精神的張り合いが生まれ、中断期間中の調整に弾みがつき、後半戦のパフォーマンス向上につながるとの見立てだ。

 千賀は圧倒的な投球で相手を崩し、他の投手にもプラスを生み出す。早期一軍投入のメリットは計り知れないが、一方で「急がず、より万全に」との慎重論もある。現在の先発陣は石川、マルティネス、和田、武田、東浜、レイの6枚。交流戦18試合で先発のクオリティースタート(6回以上を自責点3以下)は12回を誇った。交流戦チーム防御率1位の主因は先発陣の安定で、千賀が戻れば誰かが抜けることになるからだ。

 故障直後、千賀は「またすぐに登板し、チームの勝利に貢献したい」と語っていた。復帰に向けてスピードを緩めるつもりはないようだが、どうなるのか。