虎OBが指摘する王者ソフトバンクとの差は「ツーストライクアプローチ」

2021年06月08日 05時15分

6日のソフトバンク戦、チャンスで三振に倒れた佐藤輝

 セ・リーグ首位を独走してきた阪神は交流戦5勝7敗と停滞気味だ。失点が続く中継ぎ陣の立て直しだけでなく、攻撃陣も課題が浮き彫りになっている。不利なカウントから打者が出塁につなげる「ツーストライクアプローチ」だ。前カードのソフトバンク戦では、この差が得点差にも影響した。16年ぶりリーグVに向け、4年連続日本一の鷹打線との差を埋めるためにやるべきこととは――。

 前カードの絶対王者ソフトバンクとの3連戦では攻撃陣のさらなる進化の必要性が浮き彫りとなった。7日現在、チーム打率2割6分1厘の鷹打線に対して同2割5分6厘の猛虎打線に「数字以上に差があった」とは、両リーグを経験した球界OBの弁だ。いわく両軍の差は「追い込まれた後の対応力」で、阪神が敗れた5、6日の試合でこれが顕著に出たという。

「ソフトバンクの打者が『さすが』とも言えるけど、これは個人というよりチームとして植えつけられている意識からくるもの。松田や柳田といったキャリアのある選手でも、そのシチュエーションになればバットを一握り短く持ったりとかも含めて、追い込まれる前とは違うスイングで対応していた」

 この球界OBが指摘する修正点は「ツーストライクアプローチ」。打者が2ストライク後に際どいコースや、安打にするのが難しい球をファウルでしのぎ、甘い球を待ちつつボール球を見極め、四球を選ぶ打席での対応技術のこと。「阪神も決してみんなの調子が悪くヒットが全く出ないような状態ではなかった。結果として点差がついたのはそういうところ」と訴える。

 実際、4年連続日本一の絶対王者は対応力で試合巧者ぶりを発揮していた。ソフトバンクが3―2とリードした5日の7回。阪神の中継ぎ右腕・小林に対し、代打・三森はカウント2―2から3球ファウルした後に四球で出塁。4点目を叩き出した栗原の投ゴロも、同じくカウント2―2から3球ファウルで粘った末にはじき返したものだった。

 6日の試合でソフトバンクが初回に3点を挙げたシーンにも「ツーストライクアプローチ」が絡んでいる。一死二塁での栗原の左前への先制適時打は2ストライクからファウルとボールを2球ずつ見極めた後の6球目。その後、2点打を放った甲斐の前を打つ中村晃もカウント2―2からファウルを挟んだ7球目で四球を選ぶ〝つなぎ〟で貢献した。

 それ対して阪神は攻撃の〝味つけ〟が十分ではなかった。5日、両軍無得点の2回一死一、二塁で8番・中野が相手先発マルティネスの初球を打ち上げ、左飛に倒れたシーンなど、つながりではなく「個」での打開に頼る場面が目立った。3連戦で本塁打は阪神4本、ソフトバンク3本と空中戦では上回っただけに、なおさら好機のお膳立ての仕方が課題というわけだ。

 阪神は1番・近本や4番・大山、6番・佐藤輝など仕掛けの速いタイプが多く、じっくりと球を見極める〝粘り〟が売りの打者は3番のマルテぐらい。好球必打で確率的にも甘い球が来る可能性が高いカウントの浅い段階で勝負に行く姿勢は責められるものではない。一方で「個人の技術にチームとしての意思統一が浸透すれば、もっと怖い打線になる。次の1点をどう取るかといった接戦だったり、相手投手の防御率が良く、そうそう点を取れない試合はこれからもある」と前出OBは指摘する。

 悔しい結果に終わったソフトバンクとのシリーズは、開幕からセの首位を走る阪神が「王者相手にどう戦うか」と気の早い虎党を中心に〝日本シリーズ前哨戦〟の向きもあった。秋に再戦を実現させ、交流戦の借りを返すためにも、猛虎打線はもう一皮むけていきたいところだ。

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