原巨人が肝を冷やした。4日の日本ハム戦(東京ドーム)で左ヒジのクリーニング手術からC・C・メルセデス投手(27)が復帰。だが、6回に左太モモ裏を押さえ緊急降板するアクシデントに見舞われた。幸い軽症だった模様だが、首脳陣以下、チームにとっては大ショック。というのも復帰左腕には、チームが大いに期待する〝ミッション〟があったからだ。


 その瞬間、東京ドームが沈黙に包まれた。2点リードの6回二死一塁まで2安打無失点と快調に飛ばしていたメルセデスが、西川へこの日の83球目を投じると突然、顔をしかめた。

 桑田投手チーフコーチ補佐がマウンドに走る。左腕は左太モモ裏を押さえるとそのままベンチ裏へ。2番手・大江が急きょマウンドに立った。

 それでも後続が零封リレーで踏ん張ると、7回の重信の2号2ランなどで6―0と快勝。メルセデスが今季1勝目をマークした。

 試合後、原監督は左腕について「大丈夫です。今、ピンピンしている。(足が)つったという(笑い)、力みというかね」と軽症を強調。メルセデスも「(途中降板で)中継ぎ陣に迷惑をかけてしまい申し訳ない気持ちでいっぱいです。足は心配ないよ。次回に向けて頑張ります」と球団を通してコメントした。

 この日は昨年9月13日のヤクルト戦(東京ドーム)以来264日ぶりの復帰戦だった。左腕が大事に至らなかったことにチームもホッと一安心だった。

 その理由はメルセデスが虎追撃の一番手として期待されているため。首位・阪神を3・5ゲーム差で追う巨人にとってチームの「虎キラー」復活は悲願だった。

 球団関係者は「CC(メルセデス)がフル回転してくれれば、阪神には十分に追いつける。初対戦となる佐藤輝もCCの動く直球には苦労するはず」と期待していた。

 これまで左腕は阪神を圧倒してきた。2018年2勝0敗、防御率0・61、19年2勝0敗、防御率1・80と2年間無敗。19年のCSファイナルでも7回無失点と勝利している。左ヒジに不安を抱えていた昨年こそ1勝2敗、防御率2・95となったが、対虎トータル6勝2敗を誇っている。

 もちろんルーキー佐藤輝が加わった21年版猛虎打線に通用するかは未知数だが、それでもメルセデスがこのまま金曜日ローテを守り続ければ、交流戦後の18日甲子園、7月9日甲子園と虎3連戦のカード頭を任されることになる。

 6日に復帰予定の菅野は「右ヒジの違和感」で1か月離脱。守護神デラロサも「左脚の違和感」で2日に登録抹消となるなど、G投はケガが続いている。

 今回は軽症だったものの、登板中の足のつりがクセになったケースも多い。今後もメルセデスは緊急降板の危険と隣り合わせの登板が続くことになるが、いずれにせよ虎ハンターの成績が巨人のリーグ3連覇に大きく影響しそうだ。