王者に異常事態だ。ソフトバンクが3日のDeNA戦(横浜)に3―4で競り負け、引き分けを挟んでの3連敗でパ・リーグ首位から陥落した。

 過去15年で8度の優勝を誇る交流戦で苦しんでいる。特に工藤政権下では、いくら故障者が出ようとも4度の優勝で4位が1回と抜群の成績を残してきたが、現在は折り返し地点を通過して2勝5敗2分けの11位。DeNAには9年ぶりに負け越した。

 何が起きているのか。森とモイネロを欠く救援陣が不安定なのは言うまでもないが、気になるのはそこをカバーするはずの打線の低迷だ。しかも今回のDeNA戦では、2戦目にプロ未勝利で防御率5・84だった中川と対戦して6回で1点と苦しんだ。3戦目にも防御率4・60だった坂本に6回無失点に抑えられた。

 得意の巨人には2勝1敗と勝ち越したものの、セ・リーグBクラスの中日とDeNAに0勝4敗2分け。本紙評論家・得津高宏氏は「今までの交流戦でいえば、セ・リーグのバッテリーがソフトバンクの打線を怖がり、逃げて打たれていた印象があります。まさに負け越した巨人の初戦、2戦目がその典型です」と切り出し、こう続けた。

「DeNAは捕手の伊藤が内角を厳しく要求し、若い投手が逃げずに投げ込んでいました。初対戦で軌道の分からない若い投手にバンバン内に来られると打ちにくいものですよ。中日戦でも柳、小笠原、勝野と若い3人に抑えられましたが、相手が必要以上の恐怖感なしに投げてきたら残りも苦戦するかもしれません」

 ただでさえ柳田が本調子ではなくキューバ助っ人もいない状況。2年ぶりの交流戦でもあり、いわば“鷹恐怖症”に陥っていない若武者に苦しんでいるという見立てだ。

 工藤監督は試合後、初物相手の苦戦に「どうやって初めて当たる投手に対して全員で策を練り一致団結してぶつかっていくのか。個々では打てないものも、チーム一丸でやっていけば変わってくるところもある」と口にした。交流戦巧者の巻き返しはなるか。