久しぶりに耳にした「中4日登板」だった。巨人の3年目右腕・戸郷が30日のソフトバンクとの交流戦(ペイペイ)に先発。5回2失点にまとめて、自身3連勝を飾った。巨人がソフトバンク相手に勝利を収めるのは、2019年6月22日以来。オープン戦を含めた連敗が「14」で止まり、それ自体が話題になった。

 時計の針を試合前まで戻すと、興味深い話があった。実働29年、現役通算224勝を誇ったソフトバンク・工藤公康監督(58)は、自軍戦に中4日で先発してきた21歳に対して率直な印象を明かしていた。

「体が強いねぇ。ウチの投手にはいないのかな、ホントにねぇ」。ここまではご愛嬌だったが、そこから本音が漏れた。交流戦カード最終戦に中4日で合わせるようにソフトバンク戦初先発の右腕を、半年前の胸中を明かしながら警戒していた。

「(昨秋の日本シリーズで)リリーフで投げている時によかった。(その時に)こんなにいい投手だったんだと思った。『おー、これは打てんぞ!』と思ったからね。『先発で来る方が嫌だな』って。チームによってはいろいろ戦略があるんでしょうけど」。戸郷は昨年の日本シリーズで中継ぎで3試合に登板して「敢闘賞」を受賞する輝きを放った。相性や打者・投手双方の特徴を見極めて多彩な投手起用を繰り出す工藤監督。そんな鷹の将には「難敵」に映り、かつ先発で長いイニングを投げられる脅威を感じていたという。

 今カード中はさまざまな思惑や伏線が双方にあったはずだ。やられたらやり返すが工藤流。先発してきたからこそ集まったデータや攻略法もあるはず。今秋の日本シリーズ、3年連続で球界の盟主と激突することになれば、見どころは満載だ。