暴れん坊を貫け。西武・今井達也投手(23)が19日のソフトバンク戦(メットライフ)で7回5安打5失点(自責点3)投球。勝ち負けはつかなかったものの2回、5回と味方の適時失策に足を引っ張られながら7回125球を粘り強く投げ抜いた。

 今井は今季7試合(44回2/3)に登板し40三振を奪う一方で、両リーグワーストの30四球(与四球率6・05)を与える四球王でもある。ただ、周囲には「今井はこのままでいい」と現状肯定派が多い。

 今井の持ち味といえばストライクゾーン内外で暴れ打者に的を絞らせない150キロ超のストレート。その荒々しさは時に制球難を招く。7試合で許した走者の半数以上が四球という今井はここまで4与四球以上が5試合、うち6与四球以上が3試合と四球とは縁が深い。

 しかし、辻監督が「今年の今井はいい球を投げている。その中で荒れ球ってバッターにとっては結構嫌なんですよ」とフォローするように、威力のある速球が魅力の“荒れ球右腕”は打者にとって様々な意味で脅威でもある。結果、今井は四球で頻繁に塁を埋めながらも完全に制御不能になることはなく防御率は2・62と安定している。

 辻監督の話を補足するようにある球団OBは「コントロールが良すぎて逆に的を絞られやすい楽天の田中将と違って、今井はいつどのカウントでストライクが来るか分からない。森が外角に構えていても抜けた逆球が体に向かって来る危険性もある。そういう投手には打者もなかなか踏み込んでいけないし的も絞りづらい。確かに綱渡りだけど、ここ最近はある程度まとまってきている。それで抑えられているのなら今は欲を出さず、このスタイルを極めて行けばいい」とエールを送っている。

 今井の目指す方向性は与四球王&最優秀防御率の“変則2冠”か。