巨人は19日の広島戦(東京ドーム)に2―10で惨敗を喫した。投手陣がカープ打線の餌食となったが、主砲・岡本和真内野手(24)がいよいよドン底状態から脱却し、アーチも量産態勢に入ってきた。中心選手らしく自力ではい上がってきた一方で、復調をさらに後押ししているのがメジャー通算196発男のジャスティン・スモーク内野手(34)だという。 

 悪夢の6回となった。先発した高橋は5回まで1失点で粘投したが、6回に四球絡みから2点を勝ち越され、走者を残したままマウンドを降りた。だが、2番手の大江も流れを断ち切れず、続いて登板した田中豊は四球を与えた後に、左脚の違和感を訴えて緊急降板。そして、4番手の井納はクロンに痛恨の満塁本塁打などを浴び、1イニング9失点の惨劇となった。

 試合後、首脳陣は井納と田中豊の二軍降格を即決。手薄となるブルペン陣の強化へ、原辰徳監督(62)は「名古屋(21日の中日戦=バンテリン)から合流させようというふうに決めました」と守護神のデラロサの昇格を明言した。右腕は市民権取得のため、一時渡米。この日の試合前に約1か月ぶりとなる実戦練習に臨んだばかりだが、チームの急場をしのぐべく戦列復帰することとなった。

 ブルペン整備はバタつく一方で、主砲は輝きを取り戻してきた。開幕から続いた不振はついに底を打ち、この日は3戦連発となる先制の11号ソロ。気づけば、12本塁打でリーグトップに立つ村上(ヤクルト)に1本差まで迫った。

 ライバル球団は「岡本和は完全に持ち直してきた。以前は甘い球にピクリとも反応せずに見逃したこともあったけど、今は仕留められてしまう。直球へのタイミングも取れてきているし、本人の中でのイメージと体の動きが一致してきたのでは」と警戒レベルを引き上げている。

 いつまでも低空飛行を続けないのは岡本和の実力に他ならないが、一時は打率も1割台後半から2割前半をさまよっていた打棒が急上昇した要因はもう一つあるという。それが5番に定着したスモークの存在だ。

「岡本和の後ろにスモークが控えているというのが不気味でもある。もちろん長打力はあるが、まだ全部が分かったわけではない。そうすると、どうしてもバッテリーも(マークを)分散させざるを得なくなる」(同)

 スモークは4月27日のヤクルト戦(神宮)でデビューして以来、5番では14試合に先発出場。すると、助っ人砲と中軸コンビを組んだ試合で岡本和も打率3割3分9厘(56打数19安打)、7本塁打、19打点と快音を連発している。

 岡本和をサポートする5番打者を巡っては首脳陣も試行錯誤を繰り返し、丸や亀井、中島、ウィーラーのほか大城、香月、立岡の7選手を起用した。スモークが理想のピースとしてハマッたことで、岡本和の後押しにつながっているというわけだ。

 前夜の同戦では初の2者連続弾で競演した大砲コンビ。投手陣が苦しむ時こそ、豪打でチームを救えるか――。